2011 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル芽細胞におけるShhおよびBmpシグナルのクロストークと歯の再生への展望
Project/Area Number |
21791838
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 里美 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40451918)
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Keywords | 歯の再生 / Sonic hedgehog / BMP / Wnt / エナメル芽細胞 |
Research Abstract |
Shh(Sonic hedgehog)は、歯の発生過程において、シグナルセンターであるエナメルノットに強く発現しており、エナメル芽細胞分化において重要な働きを担っていると考えられているが、その機能の詳細はいまだ不明である。申請者は、未分化エナメル芽細胞株ALCにShhを作用させることによりアメロジェニン、アメロブラスチンなどのエナメルマトリックス発現が増加することを認め、さらにエナメルマトリックス発現の上昇が、Shhシグナルにおける主要な転写調節因子であるGli1を介する直接的な作用であることを明らかにした。すなわち、Shhを用いることによりエナメル芽細胞の分化を直接誘導できる可能性が示唆された。ところで、ShhシグナルとBmp(Bone morphogenetic protein)シグナルは協調して働くことが肢芽発生および歯の発生において報告されている。申請者はエナメル芽細胞においてShhシグナルがBmp産生を誘導すること、Bmpによってもエナメル芽細胞分化が誘導されることを確認した。さらに、本年度は歯の発生過程において重要な因子であるWntシグナルがエナメル芽細胞の分化に関連している可能性を示唆した。Wntシグナルのβカテニン経路のインヒビターであるIWRとPCP経路のインヒビターであるY27632をALCに作用させると石灰化が抑制され、エナメルマトリックスの発現の低下が確認された。
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