Research Abstract |
昨年度においては,自作疲労試験器を用い,既存製品および,ニッケルチタン合金原線を用いた疲労試験を行った. 上記の疲労試験より,既存製品を用いた疲労試験より,同製品における疲労破壊は,ある変形領域を境に急激に減じるという結果が得られた.また,ニッケルチタン合金原線を加工し作製した試料を用いた疲労試験からも,ある変形領域を境に,長寿命側と短寿命側に二分されることが確認された.さらに,疲労荷重の変位より,繰り返し変形初期段階には,いずれも加工硬化に伴う荷重の上昇が認められることが示唆された.繰り返し変形量が大きい環境下においては,上昇後,破折が生じた.一方,繰り返し変形量が少ない環境下においては,疲労荷重の上昇後,破断面における亀裂の発生や伝播による荷重の減少が生じた後に,破折に至ったと推察された. 以上の研究から,一般に疲労破折と考えられてきた,ニッケルチタンファイルの繰り返し変形による破折は,疲労荷重の上昇中に生じていることから,数回から数十回の過重負荷によるものが主であり,低サイクル疲労破折領域もしくは,脆性破壊に近い様相を呈することが,示唆された. つまり,日常臨床において,ニッケルチタンファイルの破折を予防するには,新品を使用することはもとより,単回使用であっても,根管の解剖学的形態を十分把握し,かつ可能な限り短時間での使用が推奨される.今後は,より臨床状況に即し,疫労破折について解明する予定である.
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