2010 Fiscal Year Annual Research Report
曲率および曲率半径がニッケルチタンファイルの破折に与える影響について
Project/Area Number |
21791840
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
林 洋介 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50451919)
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Keywords | ニッケルチタンファイル / サイクル疲労 / 片持ち梁式曲げ試験 / 示差走査熱量測定 |
Research Abstract |
昨年度においては,目作疲労試験器を用い,既存製品および,ニッケルチタン合金原線から加工した試料を使用し,各種条件における疲労試験を行った. 超弾性特性,直線記憶のニッケルチタン合金原線を使用した疲労試験の結果より,同合金試料における疲労破壊は,ある一定変形量を境に,高寿命側と低寿命側に2分されているという結果が得られた.さらに.試料の荷重変位曲線から,疲労破折の分極点は,弾性変形から超弾性変形領域に移行する超弾性変形誘起応力相当付近の変形量に存在することが推察された. 以上の研究から,これまでの臨床において,ニッケルチタン合金の超弾性は根管形成において,本来の根管への追従性に関し,既存のファイルに比較し有用であることが報告されてきたが,疲労破折に対しては,その破折を促進させてしまう可能性が示唆された. また、近年、市場に供された新たな製造方法によるニッケルチタンファイルであるTFファイルは、製造工程中に熱処理が施され、ねじり加工によって製作されている。本研究では、既存のファイルと曲げ特性について比較を行った結果、有意に柔軟性が向上されていることが示された。 上記TFファイルの相変態挙動を、既存のファイルと比較したところ、超弾性特性に特に強く影響を与える、マルテンサイト変熊開始温度および逆変熊終了温度が有意に高く、優れた超弾性特性を有していることが示唆された。また、変態に際する総熱量もTFファイルは有意に大きく、熱処理によって冷間加工による、加工硬化が開放されていることが推察された。 以上、片持ち梁式曲げ試験およびDSCの結果から、新規製造方法によるTFファイルは、既存のファイルに比較し、その母材であるNi-Ti合金の機械的特性が向上していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)