2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791841
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岸川 隆蔵 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50376745)
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Keywords | う蝕 / OCT / 画像診断 / 臨床 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歯科医療現場において潜在的な可能性をもつOCTについて、新たなう蝕診断法としての臨床導入の可能性を、保存学的な視点から調査することにある。歯の硬組織については、エナメル質及び象牙質の厚さやう蝕病変の検出が可能であり、歯髄の位置の確認についてもその有用性が期待されている。本診断法は、歯科領域全般にわたり、非侵襲でかつ極めて有用性の高い情報が得られる革新的技術であり、この実用化により、歯科医療技術の向上に大きく貢献し、患者にとっても大きな利益となる。本診断技術に関する研究は国際的にも限られており、歯科領域全般において迅速に取り組むべき課題である。今年度はOCTによる臨床データ収集を行った。各種う蝕(平滑面う蝕・隣接面う蝕、根面う蝕、二次う蝕)における、う蝕診断、う蝕除去ならびに術後管理にOCTを応用して臨床データを集積した。なお、OCT本体・プローブ・画像解析ソフトを含め、上記臨床データ集積には全て現有する測定機器および付属ソフトを使用した。とりわけOCTの断層画像により、エナメル質の脱灰と再石灰化による変化が観察できるか調査し、OCTにより、MIペーストに浸漬した脱灰エナメル質に輝度変換部がみられたことから、再石灰化による変化を断層画像として捉えることができると思われた。また、MIペーストによるエナメル質の再石灰化は、期待できるものと考えられた。 この研究成果は来年度以降学会にて発表する予定である。OCTの歯科・口腔領域への臨床応用はほとんどみられないが、その非侵襲性、高空間分解能、客観性、同時性、低価格性などの特徴をいかし、将来的に診断への応用が期待できると考えられた。特に今回の実験から、OCTによる断層画像を観察することで、歯の脱灰と再石灰化の変化を追っていくことが可能であった。したがって、OCTを用いた初期う蝕の早期発見と再石灰化治療、また予後観察が可能になると思われる。
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