2011 Fiscal Year Annual Research Report
可視光の短波長LEDを利用した歯髄血液酸素飽和度測定に関する基礎研究
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21791843
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
柿野 聡子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30516307)
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Keywords | 歯髄診断 / 歯髄血液 / 透過型光電脈波 / 酸素飽和度 / パルスオキシメトリー |
Research Abstract |
1.研究の目的 これまでの研究によりヒト歯髄脈波測定に適した光源波長領域が明らかになり、抜去歯の歯髄脈波シミュレーションから、透過光量変化の2波長の比率φ(=(V_<p-p>/V_t)_<λ1>/(V_<p-p>/V_t)_<λ2>)とSO_2に相関が認められ、両者の関係よりSO_2を予測できる可能性が示された。今年度は、歯質での光減衰値の測定、血液の光学特性とLEDの波長帯域を考慮した理論的考察を行い、更にヒト歯髄脈波測定による酸素飽和度予測を行うことを目的とした。 2.研究の具体的内容 (a)歯質の光減衰係数の測定:エナメル質と象牙質を含む厚さ1~1.8mmの切片を作成し、それぞれにおいて減衰スペクトル(450~800nm)を取得し、単位厚さあたりの減衰値(dB/mm)を求めたところ、測定波長領域において減衰値:はほぼ一定となった。このことから、歯髄脈波測定の際に使用する波長間においては、歯質での光減衰の差はほぼ無視できるものであると考えられた。 (b)SO_2変化に関する理論的考察:LED光源は一定の波長帯域を持つため、その範囲内でのHbとHbO_2の吸光度の影響を受ける。SO_2測定の適性波長について理論的に検証するため、LED波長がシフトした際の透過光量とSO_2について理論解析を行った。その結果、測定に使用した3波長のうち、Hb非等吸収波長の470nmと595nmでは透過率のSO_2依存性が高く、Hb等吸収波長の525nmではSO_2依存性が低いということが分かった。また、470nmと595nmではSO_2と透過率の関係が逆の相関になり、SO_2測定に適した波長の組み合わせであると予想している。 (c)ヒト歯髄血液の酸素飽和度予測:抜去歯の測定より求めたSO_2と透過光量の関係からヒト歯髄血液のSO_2の予測を行ったところ、およそ65~75%となった。歯髄は歯質に囲まれたコンプライアンスのない組織であるため、指尖と異なり、脈波振幅に動脈血だけでなく静脈血の酸素レベルも反映する可能性があると考えられる。
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Research Products
(1 results)