2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯歯髄の幹細胞特性を応用した組織工学的新規う蝕・歯周治療法の開発
Project/Area Number |
21791848
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 さやか Nagoya University, 医学部附属病院, 医員 (40437033)
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Keywords | 歯髄 / 乳歯 / 再生医療 / 幹細胞 / 組織工学 |
Research Abstract |
近年、再生医療の重要な因子である幹細胞は様々な組織に存在することが明らかとなってきている。中でも歯髄から得られる永久歯歯髄幹細胞(DPSCs)乳歯歯髄幹細胞(SHED)は非侵襲的かっ簡便に採取可能なため、有用な幹細胞源として注目されている。本研究では、SHEDとDPSCsそして現在臨床応用されている骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSCs)の細胞特性を比較することにより、その有用性について検討を行った。間葉系幹細胞マーカーの一つと報告されているSTRO-1の免疫染色では、各細胞ともに陽性細胞の存在が確認された。また、BrdU細胞増殖アッセイによる増殖能の検討では、SHEDがDPSCsおよびBMMSCsと比較して有意に増殖能が高いことが明らかとなった。以上のことより、乳歯には増殖能が高く、幹細胞特性を持つ細胞群が含まれていることが示された。次にSHEDの特性を明らかにするため、DNAマイクロアレイ法を用いて、SHEDとDPSCsの遺伝子発現プロファイルを比較検討した。SHEDとDPSCsにおいて2倍以上発現に変動が認められたのは4386遺伝子であった。geneontology解析の結果、SHEDにおいてextracellular matrix、developmental processの機能を持つ遺伝子群が特に高発現していることが明らかとなった。またパスウェイ解析の結果、細胞増殖に関わるパスウェイが有意に変動しており、FGF2,TGFβ等の成長因子や、Col I, Col III等の細胞外マトリックスが関与していることが示された。本研究より、SHEDは増殖能が高い特性をもち、組織再生に重要な働きをするマトリックス産生が盛んであることが明らかとなり、再生医療にとって有用な幹細胞源となりうることが示唆された。
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Research Products
(14 results)