2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯歯髄の幹細胞特性を応用した組織工学的新規う蝕・歯周治療法の開発
Project/Area Number |
21791848
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 さやか 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40437033)
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Keywords | 歯髄 / 乳歯 / 再生医療 / 幹細胞 / 組織工学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、非侵襲的かつ簡便に採取可能な幹細胞源である乳歯歯髄幹細胞(SHED)を用いた新規歯槽骨再生医療の確立やう蝕治療法の開発を目指し、硬組織形成における有用性の検討を行った。まずSHEDの硬組織誘導能について検討するため、dexamethasone、β-glycerophosphate、L-ascorbic acid 2-phosphate含有培地にて分化誘導を行ったところ、alizarin red染色およびVon Kossa染色陽性を示したことから、SHEDの硬組織形成能が示唆された。次に、硬組織分化誘導時のSHEDの遺伝子発現変化について永久歯歯髄幹細胞(DPSCs)と比較検討を行うため、硬組織分化誘導後経時的に各細胞よりRNAを抽出し、定量的リアルタイムPCRを用いて、骨および象牙質関連遺伝子(ALP、Runx2、Osteocalcin、DMP-1、DSPP)の発現を比較検討した。その結果、SHED、DPSCsともに非誘導コントロールと比較して経時的に骨・象牙質関連遺伝子の発現の上昇を認めた。また、両細胞間に発現量の有意差は認めなかったことから、SHEDはDPSCsと同等の骨・象牙質形成能を有することが示唆された。さらに、イヌ顎骨骨欠損モデルを用いて、乳歯歯髄幹細胞、永久歯歯髄幹細胞、骨髄MSCsの移植実験を行ったところ、乳歯歯髄は永久歯歯髄および骨髄MSCs移植群と同等の骨再生が得られた。以上の結果より、乳歯歯髄は歯槽骨、象牙質・歯髄複合体の再生に有用な細胞源となりうることが示された。
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