2010 Fiscal Year Annual Research Report
低出力半導体レーザー照射が歯髄細胞のレジン成分に対する反応に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
21791857
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
矢野 淳也 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00347676)
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Keywords | 歯内療法学 / 半導体レーザー / 歯髄保存療法 |
Research Abstract |
〔研究実績の概要〕in vitro実験系における半導体レーザー照射後の歯髄細胞に対するレジン成分の影響の検討を行った. 半導体レーザー照射が象牙芽細胞や歯髄細胞のレジン成分に対する反応に与える影響を検討した.レジン成分は,ベースレジンとして多くの修復用コンポジットレジンに使用されているBis-GMAを用い,半導体レーザーとしては出力調整が段階的に変換可能なパナソニックP-Laserを使用した. 培養歯髄細胞株および私達が確立した象牙芽細胞様細胞株に対して、細胞死に到らないレーザー出力の上限を検討し、最適と考えられるエネルギー密度12J/cm^2前後の半導体レーザー照射を設定した.(この培養歯髄細胞は、これまで私たちが行なった研究結果から、レジン成分の影響を受け、細胞周期に変化を生じ、アポトーシスを生じていることが強く示唆され、また刺激除去後には再度増殖能が回復するという可塑性を有することが示されているものである.) 設定したエネルギー密度の範囲内で、照射間隔やレーザーのパルス制御の有無、培養細胞密度など、各種条件を変えてレーザー照射を行なったところ、レーザー照射の影響は軽微であり、コントロールと比較して細胞増殖能に対して統計学的にも明らかな照射の影響は認められなかった.そこで、照射エネルギーの取り込み効率を高めるために、今回用いた半導体レーザーの波長と反応して取り込み効果を向上させる薬剤の追加を行なうことを検討している.薬剤の適用に際しては、薬剤添加自体が細胞動態に影響を与える可能性も考えられるため、類似のコントロール試薬を用いて薬物添加自体の影響についても当然チェックを行なう.それと同時に、増殖能以外の細胞分化、機能発現に影響を与える可能性があるため、今後はレーザー単体でなく成長促進因子の添加した状態での照射等、複数の因子を検討して違いを調べる予定である.
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