2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄硬組織形成調節機序におけるWntシグナルの役割解明に関する研究
Project/Area Number |
21791869
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
武藤 徳子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40510433)
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Keywords | Wnt / 歯髄 / 歯学 / 免疫学 / シグナル伝達 / 発生学 |
Research Abstract |
申請者の研究グループは、これまで、動物を用いた歯の移植・再植実験を行い、その修復過程を詳細に検討してきた。その中で、歯髄には骨組織形成能を含めた多分化能をもつ細胞が存在し、これが歯根吸収やアンキローシスを引き起こすことを突き止めた。 一方、最近、発生学分野で注目されているウイント(Wnt)シグナルは、βカテニンを介して神経堤由来細胞の生存と分化に重要な役割を担っていることが分かってきているが、歯髄形成過程における本シグナルの役割は明らかになっていない。 今年度は、歯の発生において間葉組織に特異的に発現しているWnt5a遺伝子発現を胎生期から生後の歯髄形成過程までin situハイブリダイゼーション法で解析するとともに、WNT5Aタンパク質の機能的役割を明らかにするために、歯胚培養に梱T5Aビーズ実験と腎被膜下歯胚移植実験を組み合わせ、歯の形成過程に及ぼす影響を解析した。 その結果、Wint5aは胎生期歯胚の上皮・間葉に強発現していたが、ソニックヘッジホッグ(Shh)と骨形態形成タンパク質(BMP)の発現と部分的に重なっていた。さらに、WNT5Aは歯胚領域では影響がないものの非歯胚上皮・間葉の著明な細胞死を誘導し歯胚の発生を遅らせたが、Wnt5a、線維芽細胞増殖因子(FGF)10、Bmp4、Shh間の上皮間葉遺伝子相互作用によりWNT5Aで処理した歯胚の細胞死を部分的にレスキューするとことが明らかとなった。結果として、WNT5Aで誘導された細胞死は歯胚の発生を阻害し、低い咬頭をもつ小さな歯を惹起した。以上より、Wnt5aは非歯胚領域の細胞死の調節に関与するが、歯胚領域では他の調節遺伝子により歯胚の細胞死がレスキューされることが示唆された。
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Research Products
(8 results)