2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791872
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Research Institution | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
Principal Investigator |
庵原 耕一郎 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 口腔疾患研究部, 研究員 (60435865)
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Keywords | 歯髄再生 / 歯髄幹細胞 / 遊走因子 / 抜髄 / 感染根管治療 |
Research Abstract |
本研究は、抜髄後あるいは感染根管治療後の根管内血管新生、歯髄再生を目指して、幹細胞の根管内遊走を促進する蛋白質を検索し、その蛋白質を根管内に応用して、より早期に確実に歯髄再生に導く新しい歯内治療法を開発することを目的とする。歯髄を保存することで高齢化社会における歯の延命化によるQOL向上につながると考えられる。一方、他の組織の創傷部位においても、この遊走因子を局所に応用することにより、幹細胞を用いた全身の組織再生のための細胞治療法をより有効にできる。昨年度、in vivoにおいてG-CSFを強く発現するCD31陰性SP歯髄幹細胞を抜髄された歯牙に注入し、マウスの皮下に移植すると、血管・神経を伴った歯髄様組織を形成し歯髄再生に有効であることが示した。今年度はより臨床研究に近づくために、イヌの歯牙にCD31陰性SP細胞を移植して実際に歯髄再生が可能であるかを検索した。まずイヌの歯牙より歯髄CD31陰性SP細胞をフローサイトにて分取、培養した。その後、イヌ前歯を抜髄し、分取したCD31陰性SP細胞を自家移植した。歯髄CD31陰性SP細胞をコラーゲンと共に抜髄後の歯牙の内部に移植すると、歯髄様の組織が形成された。またBS-1 lectinにて血管、PGP9.5にて神経が形成されている事を確認した。これより、G-CSFを強く発現するCD31-SP細胞は歯髄を再生させるのに有効であることが示された。 G-CSFは好中球減少症や再生不良性貧血に伴う好中球減少症に用いられるが、再生治療においても閉塞性動脈硬化症や慢性重症下肢虚血の患者においても臨床研究が進められている。今回の実験により、歯髄再生治療法においてもG-CSFを応用することは有効である事が示された。
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