2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波顕微鏡を利用した顎顔面口腔領域の組織弾性の解析
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21791875
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽鳥 弘毅 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40372320)
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Keywords | 歯根膜 / 超音波顕微鏡 / 音速変化 / 免疫組織学的観察 / I型コラーゲン / III型コラーゲン / 架橋構造 / 弾性変化 |
Research Abstract |
平成22年度の研究において,生理的成長段階でのラット歯根膜内を通過する音速の経時的変化を超音波顕微鏡(SAM)により計測し,歯根膜弾性の生理的発達を明らかにすることを目的とした.被験動物には,生後3,4,5および7週齢雄性Wistar系ラット(各群7匹ずつ)合計28匹を実験に使用した.ラットを灌流固定後,下顎骨を取り出し,脱灰した.脱灰後,通法に従い厚さ5μmのパラフィン切片を作製した.これらの切片に対しSAMを用いて画像撮影を行った.また得られたSAM像から下顎第一臼歯歯根膜を通過する音速を計測し,各群間において統計的に比較検討した.また歯根膜弾性変化に関与していると考えられるI・III型コラーゲンの発現について免疫組織学的観察を行った.さらに,ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を施し組織を同定するとともに組織学的検討に供した. SAMの画像解析度は,HE染色像と比較して遜色はなく,歯根膜内の音速分布を鮮明に可視化した.またSAM画像から得られた各群間の平均音速は3週齢で1,523m/s,4週齢で1,538m/s,5週齢で1,552m/sそして7週齢では1,559m/sであった,歴齢の異なる群間の比較から,歯根膜内を通過する音速は成長とともに有意に上昇することが示された.免疫組織学的検討から,I型コラーゲンは歯根膜および象牙質・歯槽骨に広く局在が認められた,III型コラーゲンは歯根膜内に分布する血管壁ならびにその周囲組織のみに局在が認められた. 以上より,歯根膜弾性は生理的成長に応じて経時的に低下していくことが示唆された.これにはコラーゲン性タンパクの架橋構造の変化,成長における咬合力変化などが関与していることが推察された.
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