Research Abstract |
本研究は,中枢神軽系において検出される過分極作動性カチオンチャネル(1hチャネル)の活性制御機序と生理機能について電気生理学手法を用いて調べ,延髄最後野,孤束核,扁桃体および海馬体の各部の脳機能調節メカニズムをイオンチャネルレベルで明らかにしようとするものである。 実験動物にはSD系の雄性ラットと幼若スンクス(7-21日令程度)を用いる。ハロセン麻酔後に断頭,素早く脳を摘出し1~2℃の蔗糖リンゲル液:(mM)248 Sucrose, 5KCl,1.6MgCl2,26NaHCO3,2.0CaCl2,10Glucose,中に1分間浸漬後,マイクロスライサーを用いて,扁桃体-海馬系を含む厚さ150-200μmの新鮮脳の水平断スライス標本および最後野を含む延髄前額断スライス標本を作製する。スライス標本は室温の人工脳脊髄液ACSF(mM)124NaCl,5KCl,1.6MgCl2,26NaHCO3,2.0CaCl2,10Glucose中で95%O2-5%CO2でバブリングしながら1時間インキュベートした後,潅流装置に移す。上記の脳スライス標本を用いて,近赤外光を用いたノマルスキー微分干渉顕微鏡下にて同定した神経細胞からホールセル記録を行う。現在,ホールセル記録を行っている途中であり,来年度も継続して行う予定である。 また,スンクスの中枢神経系における1hチャネルの特性を調べるためには,生後2週間までの幼若スンクスを入手する必要がある。しかし,現状では安定供給が期待できない。そこで,当施設でスンクスの自家繁殖を行い,実験動物として22年度以降より安定供給をはかれるよう準備を始める。
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