2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪心・嘔吐に関する神経生理学的解析?過分極作動性カチオンチャンネルの役割?
Project/Area Number |
21791896
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兒玉 直紀 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70534519)
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Keywords | 延髄最後野 / 過分極作動性カチオンチャネル / 塩酸セビメリン / 嘔吐 / パッチクランプ法 / ラット |
Research Abstract |
従来、悪心・嘔吐研究は末梢性のメカニズムを中心に解明されていたが、中枢性メカニズムについては未だ不明であった。近年、化学受容性嘔吐誘発域とされる延髄最後野の単一ニューロンレベルでの解明が進み、延髄最後野内にIhチャネルの存在が証明された。Ihチャネルは中枢神経系においてペースメーカーの役割を担っており、このチャネルが延髄最後野内でどのような機能を果たしているか非常に興味深いところである。 口腔乾燥症は歯科疾患を増悪させるのみならず補綴処置を困難にさせる要因にもなり得る。塩酸セビメリンは口腔乾燥症の治療薬として用いられているが、副作用として悪心・嘔吐を惹起することが報告されている。そこで、今回Ihチャネルの機能を電気生理学的に検証し、延髄最後野におけるセビメリンの応答を解明し、悪心・嘔吐発症機序を解明することを目的とした。 SD系の雄性ラット(7-21日令程度)を実験動物に用いて、最後野を含む延髄前額断スライス標本(150-200μm)を作製し、パッチクランプ法を用いて最後野ニューロンの神経活動を記録した。セビメリンを還流投与して最後野ニューロンの反応を検討した。その結果、最後野ニューロンの約40%においてセビメリンに対する興奮性応答を示した。つまり、電位固定法により微小シナプス後電流の頻度の増加は見られなかったが、濃度依存性に内向き電流を示した。一方で、抑制性応答を示した最後野ニューロンは認められなかった。尚、この結果はIhチャネルの有無に関わらず同様であった。よって、最後野ニューロンのセビメリンに対する応答はシナプス後膜に存在するムスカリン受容体を介するものであることが示唆されたと同時に、セビメリン誘発の悪心・嘔吐に延髄最後時が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Mechanomyogram of lataral pterygoid muscle.2010
Author(s)
Kawakami S, Suwaki M, Sakamoto S, Maeda N, Shirahige C, Morimoto Y, Kodama N, Oki K, Yanagi Y, Asaumi J, Minagi S
Organizer
IADR/AADR/CADR 88th General Session & Exhibition
Place of Presentation
Barcelona, Spain
Year and Date
2010-07-15
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