2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791902
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
本釜 聖子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60380078)
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Keywords | 嚥下障害スクリーニングテスト / MIセンサ / 摂食・嚥下 |
Research Abstract |
近年,日本では高齢化が進み,摂食・嚥下障害を有する患者様のリハビリテーションへの関心が高まっている.実際にリハビリテーションを進めていく上で,嚥下機能の客観的評価は非常に重要である. 本研究の目的は,磁石とMIセンサを応用した自作の計測装置を用いて得られる波形を分析し,嚥下障害のスクリーニング法として自動判定,または,嚥下障害を波形から判別するシステムを構築することにある. 嚥下運動の中で咽頭期は重要とされており,VFやVEを用いた報告が多数ある.本装置とVEを同期させ嚥下運動を記録・分析したところ,測定値の中で甲状軟骨の最大挙上位から復位するまでの動きがホワイトアウトと一致しており,この動きに要する時間(喉頭閉鎖持続時間)は誤嚥リスクの指標となると考えられた.今年度の研究実施計画は,サンプリングの継続と,各測定項目の比較であった. 今年度は,姿勢が喉頭閉鎖持続時間に与える影響を調査し,若年者群と壮年・高齢者群とで比較・検討した。被験者は,本研究の主旨に同意し,嚥下障害のない徳島大学歯学部学生(49名,25.2±43歳)および徳島大学病院外来患者(13名.66.8±12.0歳)とした.嚥下姿勢は,90度座位,90度座位頸部前屈,仰臥位(30度),仰臥位(30度)頸部前屈の4姿勢とした.甲状軟骨付近の皮膚に棒状のNd-Fe-B磁石を,胸骨弓付近の皮膚にMIセンサを貼りつけ,30秒間の空嚥下をさせ,嚥下運動に伴う甲状軟骨の動きを解析した. 若年者群では,姿勢を変化させても喉頭閉鎖持続時間に有意な差が認められなかった.壮年・高齢者群では,仰臥位の方が,喉頭閉鎖持続時間が短くなる傾向があった。これは,加齢による咽頭収縮筋の収縮力・収縮速度の低下を姿勢が補償していることが示唆された.喉頭閉鎖持続時間は摂食・嚥下障害患者のスクリーニングテストのパラメータとして有用であると思われる.
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