2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791921
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯田 崇 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50453882)
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Keywords | クレンチング / 経頭蓋磁気刺激法 / 機能的磁気共鳴装置 |
Research Abstract |
Awake bruxismとは日常生活中に無意識に行われている歯のクレンチングであり、非機能な行動として顎口腔領域へ悪影響を及ぼしていると考えられている。本研究の目的はヒトが日常生活で生じるawake bruxismのメカニズムを、脳イメージングを用いて中枢側より解明することである。昨年度までの実験にて、手指のクレンチング(握り締め)と歯のクレンチング(咬みしめ)中の脳活動を、機能的磁気共鳴装置を用いて比較し、前頭前野の脳賦活にて歯のクレンチングにて優位な賦活を認めること、歯のクレンチングの強度と脳賦活の活動強度に相関関係を認めることを明らかにした。また、機能的磁気共鳴装置および近赤外光脳機能イメージング装置を用いて歯のタッピング運動とタッピング様運動を被験者への課題とし、両測定装置にて脳賦活部位の同定および脳賦活部位における活動量の検討を行い、両課題間に有意差を認めないことから、顎運動中における咀嚼筋筋活動が脳賦活を引き起こす主要因子であることが示唆された。本年度はこれらの研究の継続として、経頭蓋磁気刺激法(TMS)を用いて咬筋の運動誘発電位(MEP)を測定し,クレンチングが及ぼす脳の可塑性変化について検討を行った.クレンチングをトレーニングとして5日間連続で参加した.初日および最終日のトレーニング前後の4コンディションでTMSを用いてMEPの測定を行った.咬筋の安静時運動閾値は初日のトレーニング直前と最終日のトレーニング直前,最終日のトレーニング直後で有意差を認めた.咬筋のMEP振幅は4コンディション間,各刺激強度間にて有意差を認めた.多重比較にて,咬筋のMEP振幅は初日のトレーニング直前と直後間,最終日のトレーニング直前と直後間,初日の両トレーニングと最終日のトレーニング直後間に有意差を認めた.以上より継続的なクレンチング行為が運動野において脳の可塑性変化を引き起こす可能性があることが示唆された.したがって,習癖としてのクレンチング行為が,中枢において機能的,構造的な変化を生じさせる可能性が考えられた.
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