2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791928
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
片渕 三千綱 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (90454933)
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Keywords | 骨再生誘導 / 石灰化 / 骨芽細胞 / G11 / 抗体 |
Research Abstract |
現在の補綴臨床において、インプラントによる欠損部修復は予知性の高い治療法の一つである。侵襲が少なく、特別な技術を必要としない骨再生誘導法の開発は、高齢化社会においてインプラント治療を希望する患者にとって期待が大きい。新規細胞外蛋白質であるG11(von Willebrand factor C domain containing 2,Vwc2)は、顎骨の骨芽細胞で発現され、骨芽細胞の機能を抑制する分子である可能性がある。"G11に対する抗体は、骨芽細胞の活性化を促進させ、また局所的な骨再生誘導に応用できる"という仮説を立てた。 H23年度の実施計画として、マウスの頭蓋骨に円形の骨欠損を作製する実験系を確立することと、その欠損回復がG11抗体により促進され、in vivoでの骨再生誘導の効果をレントゲン的観察と組織学的観測で検証することを挙げていた。今回、実験の都合上対象をラットに変更し、骨再生誘導の効果はマイクロCTにより観察することにした。また仮説に至る当初の予想に反し、G11タンパク質自体を投与することにより、in vitroでの骨芽細胞の石灰化促進と、ex vivoでの頭蓋骨培養で骨様組織の増加が認められたため、G11抗体ではなく、G11タンパク自体による骨再生誘導の効果を検証する実験へと変更した。頭蓋骨骨欠損にG11タンパクを染み込ませたコラーゲンスポンジを填入し、5週後のマイクロCT像を観察した。コントロール郡では周囲骨からの骨様組織の添加が認められた。それに対し、G11群では骨欠損の中央付近からも骨様組織の添加が認められた。しかし、両群を比較した骨様組織の添加量の差は不明であった。 G11の骨中における分子生物学的役割は明確にはされていないが、G11タンパクにより異所性の骨様組織を添加できる可能性があり、タンパク量や投与方法によっては、効果的な骨再生誘導の可能性が示唆された。
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