2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791932
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 圭祐 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (30431589)
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Keywords | 光線力学殺菌療法 / 活性酸素 / 一重項酸素 / 殺菌 |
Research Abstract |
光線力学殺菌療法(PACT)において殺菌作用の主体を担う一重項酸素の定量分析は非常に重要であるが、これまでのところPACTによって生成される一重項酸素の定量分析法は確立されていなかった。そこで、H22年度の研究では、一重項酸素生成のための光感受性物質としてローズベンガルを用いて、最適な一重項酸素測定法の検証を行った。ローズベンガルは歯垢染め出し液としても利用されている物質であり、口腔内で用いることができる光感受性物質の一つである。このローズベンガルに対して、励起波長である532nmのレーザーを照射することで生成される一重項酸素を測定の対象とした。測定法としては、環状アミンを用いた電子スピン共鳴(ESR)法、1,3-diphenylisobenzofuran(DPIBF)の比色分析法、および蛍光プローブ(Singlet Oxygen Sensor Green,SOSG)法を用いて比較を行った。各測定用試薬の濃度、ローズベンガルの濃度、およびレーザー照射時間と測定値の変化の関係性を調べた結果、それらのパラメーターの増加に伴った一重項酸素生成の増加が認められた。測定感度としてはDPIBF<ESR<SOSGの順であった。しかしながらSOSGは、蛍光測定を行うということからローズベンガル濃度が非常に低い場合(<1μM)しか用いることができなかった。ESR法とDPIBF法ではローズベンガル濃度が20μm程度まで一重項酸素生成量が増加することが確認されたが、DPIBFは405nmのレーザーを照射した場合に吸光スペクトルが著しく変化した。以上の結果より、SOSGを用いた方法ではPACTで用いるような濃度の光感受性物質の測定を行うことができず、またDPIBF法では、400nmの光で励起されるヘマトポルフィリンなどを光感受性物質として用いた測定には不適であることが示唆された。一方、環状アミンを用いたESR法の測定感度はPACTで生成される一重項酸素測定に適していることが示唆された。今後、本研究の結果を応用してPACTで生成される一重項酸素量と殺菌効果を比較することで、新しい歯科殺菌療法を構築することができると考えられる。
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Research Products
(19 results)