2009 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント埋入時顎骨に生じる内部応力の解明に関するシミュレーション実験
Project/Area Number |
21791934
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山口 葉子 Tokyo Medical and Dental University, 歯学部附属病院, 医員 (30431927)
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Keywords | 初期固定 / トルク値 / 維持力 / 即時負荷 / インプラント / 模擬骨 |
Research Abstract |
1.目的:インプラントの初期固定は埋入窩よりやや太めのインプラントを埋入することで生じる骨を押し広げる力に抵抗して骨に生じる内力よるものであるが,この内力については,力の大きさや経時的な変化等は不明で,臨床家はメーカーから提供されたプロトコルに従って埋入操作を行っている.そこで,インプラント埋入時に周囲の骨を押し広げて進む回転力に対して顎骨が示す力学的反応を調べる目的で,模擬骨を用いたシミュレーション実験を計画した.顎骨が示す力学的反応はインプラントの初期固定に必要な維持力として利用されていることを勘案し,本研究では顎骨による維持力についてトルク値を用い,その経時的変化を検討した. 2.材料と方法:インプラント体は直径4.1mm,長さ6mmと10mmを各10本用いた.模擬骨は上顎臼歯部の骨密度と近似したウレタンブロックを用いた.インプラント床形成はメーカーのプロトコルに従って行った.各インプラント体の埋入,除去トルク値はトルクアナライザーを用いて計測した. 3.結果:長さ6mmのインプラント体の埋入トルク値と除去トルク値は,それぞれ平均で6.19±0.72Ncm,5.95±0.72Ncmであり,10mmでは13.13±1.76Ncm,12.37±1.75Ncmであった.埋入トルク値,除去トルク値ともに10mmの方が6mmより大きい値で,統計的に有意であった.各インプラント体における埋入トルク値と除去トルク値は6mm,10mmともにほぼ同じ値を示し,統計的な有意差はなかった. 4.考察:模擬骨を用い臨床的手技と同一手法でインプラント体の埋入トルク値と初期固定力に一義的に関与すると考えられる埋入直後の除去トルク値を計測することができた.従来の値よりも低めのトルク値が得られたのは,本方法が実際の臨床により近似した状況に基づいたからと考えられる.埋入トルク値と除去トルク値はインプラント体の長さに従って増加していたが,インプラント体の長さよりは,維持力を発揮し得るスレッド数に比例して変化していた.
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