2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791946
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
長野 二三 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10534448)
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Keywords | ナノ材料 / タンパク質 / 抗菌性 / 口腔組織 |
Research Abstract |
本研究の目的は、プラチナナノコロイド(以下CPN)の抗菌作用に着目し、抗菌蛋白質発現の関与について調べることである。平成22年度の計画は、(1)ヒト初代培養歯肉細胞(GF)、歯髄細胞(PF)、ヒト咽頭癌細胞(KB)へ、昨年度決定した最適濃度のCPNを投与し、抗菌蛋白質(S100A7,S100A15,クロモグラニンA)の発現を調べること。(2)CPNが上記抗菌蛋白質を発現させる機序を調べること。以上の二点であった。 GF、PF、KBについて、CPNを1%添加したDMEM培地、10%添加したDMEM培地で培養した。24時間後、上記細胞からタンパク質を回収し、S100A7、S100A15、クロモグラニンAの発現をウェスタンブロット法で検証した。結果、上記全ての細胞において、CPN添加培地でS100A7、S100A15、クロモグラニンAの発現がCPN無添加のコントロール群に比べ、より強く確認された。また、その発現はCPNの濃度に依存して発現することが示唆された。CPN投与による上記3種類の抗菌蛋白質発現の機序について、MAPKシグナル伝達経路を調べたところ、Extracellular Signal-regulated Kinase (ERK1/2)、p38、c-jun N-terminal kinase (JNK)、及びASKの関与がウェスタンブロット法にて確認された。また、これらキナーゼのリン酸化は、in vitro kinase assayとウェスタンブロット法にて、発現が異なっていることが確認された。今後、CPNの抗菌性について、う蝕の原因となる口腔内細菌や歯周病関連菌への直接的な効果など、さらなる検討が必要である。
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