2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用レーザーによる口腔領域の間葉系細胞活性化療法の確立
Project/Area Number |
21791952
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
村上 聡 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70385219)
|
Keywords | 象牙質知覚過敏症 / 炭酸ガスレーザー / 半導体レーザー / 歯髄細胞 / 象牙芽細胞 / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
本研究の目的は口腔領域の間葉系細胞およびSP細胞に対する炭酸ガス(CO2)レーザーおよび半導体レーザーによるLLLT (Low reactive Level Laser Therapy)を想定し、必要な細胞を活性化させ、サイトカインネットワークを調整し、創傷治癒の促進、疼痛の緩和により病態をより早く常態に戻すメカニズムを検索することである。歯科臨床においては従来より生活歯髄切断法として高い硬組織形成能を有する歯髄細胞の創傷治癒は知られている。また、近年では象牙質知覚過敏症に歯科用レーザーを用いたLLLTによる疼痛緩和などを目的とした治療が行われている。しかしながら、象牙質歯髄複合体細胞への歯科用レーザーの影響をサイトカインネットワークの観点から検索した報告は少ない。そこで今回は、ラット上顎臼歯に炭酸ガス(CO2)レーザーを照射したときの歯髄組織における炎症性サイトカインをはじめとするサイトカインの発現について遺伝子学的ならびに免疫組織化学的に検索した。炭酸ガス(CO2)レーザーは波長10.6μmで、連続波で8.8秒照射した。エネルギー密度は203.84J/cm2と算出された。熱電対温度計による歯髄腔側での温度は47.5℃であった。RT-PCR法による検索では、IL-1,TNF-αの各mRNAは照射後6時間には発現し、照射後24時間をピークとして減少し、照射後48時間ではコントロールと差が認められなかった。また、抗HSP-70抗体、抗Nestine抗体を用いた免疫組織化学的検索では、照射後1日では象牙芽細胞に抗Nestine抗体に陽性の反応が見られたものの、照射後5日では明らかなNestineの反応は見られなかった。一方で、照射後5日、7日では抗HSP-70抗体の陽性反応が観察された。これらの結果より炭酸ガスレーザーの照射により病理組織像としては強い変性像がみられなくても歯髄組織に炎症性サイトカインの発現に始まるサイトカインネットワークが働き、タンパク質の発現に関与することが示唆された。本研究の成果は「pulp responses after CO2 laser irradiation of rat dentin」としてJournal of Oral Laser Applicationsへ投稿中である。
|