2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノファイバーを応用した新規骨再生医療用デバイスの開発
Project/Area Number |
21791954
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
谷本 安浩 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (40312045)
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Keywords | 骨再生医療用材料 / リン酸カルシウム / ファイバー添加量 / 気孔率 / 機械的性質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノファイバーとリン酸カルシウム系材料を複合化することで、生体適合性に優れる新規材料を開発し、骨再生医療用材料への応用を目指すものである。本年度においてはアルミナファイバー(Al_2O_3-fiber)/第三リン酸カルシウム(β-TCP)複合体を作製し、Al_2O_3-fiberの添加量がAl_2O_3-fiber/β-TCP複合体の構造および機械的性質に及ぼす影響について検討した。すなわちβ-TCP粉末に対してAl_2O_3-fiberを5、10、15wt%の割合でそれぞれ添加して、分散剤と一緒に遊星型ボールミルにて混合することでAl_2O_3-fiber/β-TCP複合スラリーを調製した。その後、テープキャスティング法により作製したAl_2O_3-fiber/β-TCP複合体シートを6枚積層し、圧縮成形(100℃、20MPa)した後、高速昇温電気炉を用いて1100℃で焼成することでAl_2O_3-fiber/β-TCP複合体を得た。キャラクタリゼーションの結果、アルキメデス法により測定したAl_2O_3-fiber/β-TCP複合体の気孔率は、Al_2O_3-fiberの添加量が増えるに従って高くなった。このことはSEM観察の結果からも確認できた。一方、曲げ強度および曲げ弾性係数はAl_2O_3-fiberの添加量が増えるに従って低下した。これらの理由として、焼結過程において耐熱性の高いAl_2O_3-fiberがβ-TCPの結晶化を抑制したものと考えられた。以上の結果から、Al_2O_3-fiberの添加によりAl_2O_3-fiber/β-TCP複合体の気孔率や曲げ強度などの特性が大きく変化することから、Al_2O_3-fiberの添加量をコントロールすることによって、骨組織に近似した気孔率または機械的性質を有する骨再生材料を創製することが可能であることが示唆された。
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