2010 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムドープチタニアナノチューブを応用した歯科用セラミックス材料の創製
Project/Area Number |
21791956
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
西田 尚敬 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (70448116)
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Keywords | ナノチューブ / セラミックス / 生体材料 |
Research Abstract |
現在、臨床に応用されている人工骨・骨補填材の多くは、生体活性・生体適合性・骨伝導性を有する。しかし、自家骨に比べて骨伝導性等に欠けるため、臨床現場では新生骨が生成されるまでに骨補填材埋植部位から骨折する例が知られている。このような欠点を克服する方法として、構造体としての人工骨と成長因子あるいは薬理作用のある物質と組み合わせたハイブリッド人工骨・骨補填材が、次世代型人工骨として開発され始めている。これまでの実験によりTiO2ナノチューブ(TNT)が細胞と接着し、生化学的因子を加えなくても骨芽細胞活性が高くなるという知見を得ている。本実験では、迅速的に組織再生を誘導させるナノバイオマテリアルの創製を視野に入れ、水熱合成法によるTNT表面へのCa修飾を検討した。始めに化学合成法によりTNTを作製した。つぎに、水熱合成法を用いて、作製したTNT表面へのCa修飾を試みた。TNT粉末0.1gを45mlの0.1M水酸化カルシウム水溶液に加え、分解容器に入れ、恒温乾燥機にて200℃で60分間反応させた。その後、吸引ろ過により個液分離を行い、乾燥させ粉末を得た。得られた粉末に対して、XRDおよびSEM、TEM、EDSにて微細構造評価を行った。 XRDでは、チタン酸カルシウムのピークが認められ、化合物が生成されていることがわかった、またSEM像では、表面に生成物が沈着している像がみられ、TEM像ではチューブ構造が維持されていることがわかった。そして、EDSでは、チューブ表面からCaが9-18%(at%)検出された。今回の実験により、水熱合成法を用いて、TNT表面にCaを修飾することが可能であり、Ca-Ti-Oのチューブ状の化合物が生成されていることがわかった。本実験の目的は、組織の再生を迅速に誘導する材料を開発することであり、今後、低次元ナノ構造を制御可能な、最適な合成条件を明らかとし、合成された材料の生体細胞に与える影響について検討していく。
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