2009 Fiscal Year Annual Research Report
シクロデキストリンを利用した機能性コンポジットレジンの開発
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21791957
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
牧田 佳真 Osaka Dental University, 歯学部, 助教 (30454573)
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Keywords | シクロデキストリン / コンポジットレジン |
Research Abstract |
現在コンポジットレジンは主に咬合負荷の少ない欠損部の修復に用いられている。審美性、操作性、耐久性がさらに向上したコンポジットレジンが開発できれば、より複雑な形態の窩洞に対するコンポジットレジン修復とチェア-タイムの短縮が可能となる。本研究は重合収縮時に歯面に掛かる応力を分散するためにシクロデキストリンで被覆された貫通型の錯体をモノマ-の-つとして添加することで、フィラ-含有量に囚われない、新しいコンポジットレジンの開発を目的としている。本研究の実現に向けた課題として、シクロデキストリンとコンポジットレジンの原料となる各モノマーが貫通型錯体(擬ロタキサン)を形成することを明らかにすることが挙げられる。α、β、γの各サイズのシクロデキストリンの飽和水溶液中に、コンポジットレジンの合成に用いられるTEGDMA、UDMA、Bis-GMAを添加したところ、TEGDMAやUDMAでは溶液の変化は見られなかった。一方、Bis-GMAは水にほとんど溶解しない粘性のモノマ-にも関わらず、αとβのシクロデキストリンの飽和水溶液中に完全に溶解するだけでなく、白色の固体が沈殿することが明らかとなった。この結果からシクロデキストリンがBis-GMAと擬ロタキサン型の錯形成をすることが示唆された。本研究成果は、製品化されある程度確立しているコンポジットレジンの成分に、シクロデキストリンを直接添加することで、シクロデキストリンを含有したコンポジットレジンを作成することが可能なことを意味しており、本研究成果を実用化していく観点からも重要な知見が得られたと考えられる。
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