2009 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血を用いた細胞塊移植療法とその閉鎖系培養システムの開発
Project/Area Number |
21791974
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末永 英之 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (10396731)
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Keywords | 移植・再生医療 / 発生・分化 / 再生医学 |
Research Abstract |
膜性骨化において間葉系細胞は凝集という過程を経て骨に分化することが知られており、3次元的な環境が骨分化を促進すると報告されている。われわれは、これまでに骨髄単核細胞より細胞塊が形成されることを確認し、旋回培養法による細胞凝集及び3次元動的流れの環境が骨・軟骨分化を促進することを見出した。本培養法は発生における細胞凝集ステップを生体外においてシミュレーションするものである。単層培養と違い、3次元かつ動的環境における凝集塊は生体組織に形態的・機能的にも近く、生体内環境および発生過程における細胞凝集に類似し、生体外の組織構築に重要なものである。本研究の目的は、自己細胞のみで生体外にて細胞塊を構築し、生体内に細胞塊を移植するという発生の過程を模倣する方法により骨再生を誘導させることである。本研究では、ヒト末梢血単核細胞により形成された細胞塊をヌードラット頭蓋骨の骨欠損モデルへ移植にすることにより、骨形成が生じるか検討した。末梢血を採取し、比重遠心法により単核細胞を分離し、旋回培養を行った。培養後、数時間で細胞は凝集し始め、多数の細胞塊を形成した。細胞塊のほとんどの細胞は生細胞であった。これは、細胞凝集塊は直径300μm程度であり、生体内における拡散による物質交換の限界距離とほぼ一致する。ヒト末梢血単核細胞の細胞塊移植によって形成された新生骨は組織学的な特徴やマイクロCT画像による3次元的な特徴は既存骨に近似していた。一方、全血を用いた対照群ではほとんど骨形成はなく、線維組織が形成されていた。本培養法にて形成された細胞凝集塊のほとんどは生細胞であり、移植すると骨欠損部に骨形成を生じることから、末梢血は骨髄と同様に骨再生に応用できることが示唆された。
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Research Products
(1 results)