2010 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血を用いた細胞塊移植療法とその閉鎖系培養システムの開発
Project/Area Number |
21791974
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
末永 英之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10396731)
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Keywords | 移植・再生医療 / 発生・分化 / 再生医学 |
Research Abstract |
末梢血単核細胞中にも多能性幹細胞が存在し、骨への分化も可能であるとの報告がある。本研究では、膜性骨化において間葉細胞が血管を誘導しながら密集することにより、骨芽細胞に分化することに基づき、同現象を模倣すべく、末梢血単核細胞由来の細胞塊を用いた移植実験によって、新生骨が形成されるか検討した。ヒト末梢血より比重遠心法により単核細胞を分離し、10%ヒト血清、100nMデキサメタゾンを添加したDMEM培地と低接着性の培養皿を用い、70rpmの速度で水平状に旋回して培養を行なった。形成された細胞凝集塊をセルステイン細胞二重染色キットで染色し、共焦点レーザー顕微鏡で細胞の生死を確認した。形成された細胞塊を8週令ヌードラット頭蓋骨骨欠損モデルに移植し(移植群)、骨欠損のみの対照群と比較とした。8週後にマイクロCTおよび組織染色により評価した。旋回開始後、数時間で細胞は凝集し始め、多数の細胞塊を形成した。細胞塊のほとんどの細胞は生細胞であった。組織染色、マイクロCTにおいて、細胞塊移植群では新生骨が欠損部に一様に見られた。一方、対照群ではほとんど骨形成はなく、線維組織が形成されていた。ヒト末梢血単核細胞を用い、本培養法にて形成された細胞塊により、新生骨が形成されることが示唆された。単層培養と違い、3次元かつ動的環境における凝集塊は生体組織に形態的・機能的にも近く、生体内環境および発生過程における細胞凝集に類似し、生体外の組織構築に重要なものである。
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