2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面骨再建に向けた完全連通孔を有する高機能型人工骨の創製
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21791975
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 和代 東北大学, 大学院・歯学系研究科, 大学院非常勤講師 (90512111)
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Keywords | 生体材料 / 再生医療 |
Research Abstract |
ヒトへの顎顔面再建の臨床応用に向けて、3Dインクジェットプリンターを用いたリン酸三カルシウム人工骨(IPCAB)の完全連通孔を設計し、さらにこの完全連通孔にbFGFをプリントしたIPCABを造形し、本年度は、in vitro, in vivoにおける評価を行った。 II bFGFをプリントした完全連通孔の生物学的評価 まず、直径20mmの円盤状に対し、直径2mmの完全連通孔を0-5本三次元CAD状で設計し、TCP粉体を3Dインクジェットプリンターで造形することで、完全連通孔を有するIPCABを作製した。完全連通孔内にbFGFを添加した場合としない場合の細胞生存率を測定したところ、連通孔の数にかかわらず、bFGFを添加したIPACABにおいて、細胞生存率が有意に高かった。また、ビシンコニン酸アッセイを用いて完全連通孔内にタンパク質をプリントした場合の徐放量を測定したところ、bFGFの徐放は7日間以上続き、7日間で60%以上徐放されていることが確認された。 IIIビーグル犬の頭蓋骨欠損モデルにおける完全連通孔の有効性と安全性の評価 ビーグル犬の頭蓋骨のCTデータより、最適化された完全連通孔3本を設計しTCP粉体を3Dインクジェットプリンターを用いて、完全連通孔を有するIPCABを作製した。ビーグル犬の頭蓋骨に左右2つずつの直径20mmの骨欠損を形成し、実験群として完全連通孔を有するIPCABを、コントロール群として完全連通孔のないIPCABを移植した。4カ月後のCT値による解析と組織形態学的評価により完全連通孔内に新生骨が認められた。移植4カ月における有限要素解析から完全連通孔の有無による有意差は認められなかった。 完全連通孔の付与、bFGFの添加したIPCABは、生体内において初期強度が安定するため、臨床応用において重要な意義があると考えられる。
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