2010 Fiscal Year Annual Research Report
変動電場を用いた高速リドカインイオントフォレーシス‐患者自己管理型鎮痛法の開発‐
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21791979
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
安藤 寧 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 医員 (20516306)
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Keywords | イオントフォレーシス / 交流通電 / 矩形波 / 浸透効率 |
Research Abstract |
電気エネルギーを利用して非侵襲的に薬物を投与する方法にイオントフォレーシスがあり、局所麻酔薬や鎮痛薬の投与に用いられてきた。しかし、電気的熱傷、浮腫などの副作用が生じることがある。今回、副作用の発生を抑え、薬物の投与の効率を良くする通電や装置の条件を検討した。 (1)直流成分を有する交流通電の波形変化と浸透効率の関係について調べることを目的として、Duty Cycleを付与した双方向性矩形波、直流成分を付与した双方向性正弦波および双方向性矩形波を用いてリドカインの浸透効率の比較、セル内溶液のpH、温度上昇の測定を行った。さらに、双方向性矩形波と同等の平均電圧を有する直流通電によるリドカイン移送を行い、双方向性矩形波通電による浸透効率と比較検討した。この結果から、リドカイン移送の速度を上げるためには直流成分を長くし、また、低侵襲かつ長時間の通電を行うためには交流成分、Duty cycleの付与が必要であることが示唆された。また、Duty cycle60%および70%では、電極分極の発生を抑えることができるため、通電による副作用が少なく、効率の良い薬物移送ができると考えられる。 (2)生体に安全に利用可能で浸透を妨げない電極材料の開発を目的として、アルギン酸ゲルを用い、通電実験を行った。生体に安全に利用できるアルギン酸ゲルを使った電極を用いて双方向性矩形波通電を行ったところ、電圧およびDuty Cycleに依存して、浸透効率の上昇が認められた。ゲル中のアルギン酸濃度が低いほど、浸透効率は高値であった。今後、生体に設置できる硬度を持ち、薬物放出の妨げを最小限にする最適なアルギン酸濃度の検討が必要である。 本研究の結果から示唆されたことを臨床に応用することで、患者が安全に、注射などの侵襲なく、痛みの強さに応じて鎮痛薬を自己調節して投与する装置の開発につながる可能性があると考えられる。
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Research Products
(2 results)