2009 Fiscal Year Annual Research Report
Maspin機能発現による口腔扁平上皮癌の浸潤・転移抑制効果の実験的研究
Project/Area Number |
21791982
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉澤 邦夫 Kanazawa University, 附属病院, 医員 (60452108)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / Maspin / プロテアーゼ |
Research Abstract |
本年度は、細胞外マトリックス分解に働くプロテアーゼの阻害因子Maspin発現とがん浸潤様式との関連性を検討した。まずは、これまでのがん浸潤様式(山本・小浜分類)に基づいた系統的研究の中でその由来が明確な口腔扁平上皮癌細胞株6種を実験に供し、Maspin発現を遺伝子レベルとタンパク質レベルで調べ、浸潤様式との関連を検討した。またin vivoにおける局在性および発現レベルを調べ、浸潤・転移に関する病理組織学的因子と比較検討するため、金沢大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診した口腔扁平上皮癌患者より得られた病理組織切片71症例を対象としてMaspinを一次抗体とした免疫組織化学的染色法に取り組んだ。 その結果、最も浸潤能が高く、悪性度が高い浸潤様式4D型由来の細胞株では、他の浸潤様式に比較すると、Maspin発現が減弱していた。また、免疫組織化学的染色法のおいては、浸潤様式が高くなるにつれてMaspin発現は減弱していた。臨床病理学的因子との関わりにおいても、Maspin発現は浸潤・リンパ節転移に逆相関を認め、予後不良例や悪性度が高い症例において、Maspin発現減弱していることが分かった。 これらのことは、Maspin発現が予後の予測因子として重要であり、Maspin発現低下は、予後不良を示す指標として利用できることが示唆された。臨床応用を考慮すれば、口腔扁平上皮癌患者の病理組織切片や細胞培養を対象として、Maspin発現を調べ、発現低下を認める場合においては、予後不良を予測できるため、腫瘍マーカーとしての意義があるものと考える。 来年度は、さらにMaspinと密接に関わり、がんの浸潤・転移に関与するuPA, uPARの発現も同様の手技にて検討し、検討する。
|
Research Products
(2 results)