2010 Fiscal Year Annual Research Report
Maspin機能発現による口腔扁平上皮癌の浸潤・転移抑制効果の実験的研究
Project/Area Number |
21791982
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉澤 邦夫 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (60452108)
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Keywords | Maspin / uPA / uPAR / 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
本年度は、細胞外マトリックス分解に働くプロテアーゼuPA/uPAR発現とその阻害因子であるMaspin発現に関して免疫組織化学染色法、Western blotting法,RT-PCR法を用いて、がん浸潤様式を中心に口腔扁平上皮がんの臨床病理学的因子との関連を検討した。 その結果、最も浸潤能が高く悪性度が高い浸潤様式4D型由来の病理組織および細胞株では、他の浸潤様式に比較してMaspin発現は減弱していたが,一方でuPA,uPARではその発現が増強していた。また、これらの発現因子は5年全生存率とも相関し、Maspinは予後良好因子として、uPAとuPARは予後不良因子としてのマーカになりうると考えられた。特にuPA+/uPAR+/Maspin-症例では、浸潤・転移する確率が高く予後不良を強く示唆するため、予防的頸部廓清術を行うなど丸先手を打つ治療を考慮すべきと考えられた。 また、MaspinをsiRNAで抑制させた細胞株を用いて、3D浸潤モデルを構築し、invasion assayを行った結果、Maspin siRNA群ではコントロール群に比べて、浸潤能の亢進が認められた。 これらのことから、浸潤様式が高くなるほど、細胞外マトリックスの分解に働くuPA/uPAR機能が強く、それを制御するMaspinの発現が減弱していることから高浸潤能を持ち、予後にも相関していることが考えられた。また、4D型は、比較的浸潤能が高い3,4C型に比べても、その発現パターンが極端であり、4D型では、MaspinとuPa/uPARの相互作用するメカニズムが他の浸潤様式とは異なって調節されていることも推察された。今後はin vivoに応用できるように、Maspinの生体内における実験的研究を行う予定である。
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Research Products
(2 results)