2011 Fiscal Year Annual Research Report
Maspin機能発現による口腔扁平上皮癌の浸潤・転移抑制効果の実験的研究
Project/Area Number |
21791982
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉澤 邦夫 金沢大学, 附属病院, 医員 (60452108)
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Keywords | Maspin / uPA / uPAR / 口腔扁平上皮癌 / 細胞外マトリックス / 浸潤様式 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度まで細胞外マトリックス分解に働くプロテアーゼ阻害因子Maspin発現とがん浸潤様式との関連性を検討したデータを元に、細胞外マトリックス分解に働くプロテアーゼuPA,uPARの発現も加えて比較検討した。これまでのがん浸潤様式(山本・小浜分類)に基づいた系統的研究の中でその由来が明確な口腔扁平上皮癌細胞株6種を実験に供し、Maspin、uPA,uPAR発現を遺伝子レベルとタンパク質レベルで調べ、浸潤様式との関連を検討した。その結果、最も浸潤能が高い4D型由来の細胞株では、他の浸潤様式に比較すると、Maspin発現が減弱していた一方で、uPA,uPARの発現亢進が認められた。また、Maspin siRNAによりmaspin機能減弱させたがん浸潤様式3型由来HSC-4細胞株を用いて、3D浸潤モデルを利用したinvasion、assayをしたところ、コントロール群に比べて、Maspin siRNA群では浸潤能亢進を有意に認めた。またin vivoでは、金沢大学附属病院歯科口腔外科を受診した口腔扁平上皮癌患者より得られた病理組織切片54症例を対象としてMaspin,uAP,uPARをそれぞれ一次抗体とした免疫組織化学的染色法に取り組んだ。その染色結果では、浸潤様式が高くなるにつれてMaspin発現は減弱する一方で、uPA,uPARの発現亢進が認められた。さらにMaspin-/uPA+・uPAR+の症例群が最も予後不良な組み合わせであることもわかり、Maspin発現は浸潤・リンパ節転移に逆相関を認め、反対にuPA,uPARは正の相関を示していることがわかった。これらのことより、Maspin,uPA,uPARの発現が予後予測因子として利用できる可能性を示唆した。
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Research Products
(5 results)