2009 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt/sFRPファミリー制御機構を組み込んだ新規骨再生医療の開発
Project/Area Number |
21791985
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 渉 Nagoya University, 医学部附属病院, 医員 (10437030)
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Keywords | Wntシグナル / 骨再生医療 / 未分化間葉系幹細胞 / 組織工学 / 細胞培養 |
Research Abstract |
本研究では骨再生医療の効率化を達成するためにWnt/sFRPファミリーに着目した。すなわち間葉系幹細胞の細胞増殖過程および骨分化過程においてWntシグナルを調節することにより、増殖速度を速め、骨分化を効率的に行おうとするもので、患者のQOL向上に大きく寄与する医療となりえる。 まずWntシグナルを賦活し細胞増殖能を高めることを検討した。リチウムイオンはWnt賦活因子の一つであるが、骨髄由来間葉系幹細胞(MSCs)の増殖能を高め、BrdU陽性細胞数を増加させた。逆にWnt阻害因子sFRP-3を加えて培養したところMSCsの増殖能は低下した。またリチウムを添加して培養したMSCsは骨分化誘導培地にて問題なく骨分化を行うことが示された。 つぎに骨分化過程においてsFRP-3を添加してMSCsを培養したところ骨分化誘導7、14日目においてアリザリンレッドに染色性を示す石灰化物が非添加群にくらべ増大した。RT-PCRにおいてもI型コラーゲン、アルカリフォスファターゼ、Runx2などの発現が亢進し、定量的リアルタイムRT-PCRにてもアルカリフォスファターゼの有意な上昇を認めた。 以上のことよりMS Csの増殖過程にWntシグナルを賦活し、骨分化誘導時に阻害することにより、より効率的に細胞を増殖させ、骨芽細胞様細胞へ分化させる培養システムが構築された。 また乳歯および永久歯歯髄幹細胞とMSCsの比較を行った。MS Csに比べBrdU陽性細胞数が多く、かつ骨分化誘導能を有することよりMSCsに代わる新たな細胞源として有用であることも分かった。乳歯歯髄幹細胞ではMSCsでは発現していないいWnt3などのいくつかのWnt関連遺伝子の発現が亢進していることがRT-PCRにより明らかになった。このことは高い細胞増殖能を得るためにWnt3遺伝子などの遺伝子が関連している可能性を示唆するものであった。
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