Research Abstract |
桂花匂い刺激による血中糖動態への影響 研究方法(ラット):雄性成獣ラット(280-300g, n=10)を用いて,実験前日より絶食状態とし,15分間匂い刺激(1. 無臭,2. 桂花匂い)を付与した。匂い刺激解除45分後に食前血糖値を測定した。20%糖液(グルコース/体重=1mg/g)を3分間で経口投与し,15分間隔で120分間,尾静脈より採血し,血糖値を測定した。 研究方法(ヒト):健常人10名を対象とし,実験前日より絶食状態とし,15分間匂い刺激(1. 無臭,2. 桂花匂い)を付与した。匂い刺激解除45分後,食前の血糖値を測定した。トレーランG75を6分間で服用させた後,15分間隔で120分間血糖値を測定した。また,別の健常人6名を対象として,経口糖負荷試験を同様に実施し,糖負荷後60分時まで,5-10分間隔で血清インスリン値も測定した。対照実験として同じ健常者6名を対象として,同様の手法にて15分間の匂い刺激を付与し,匂い刺激解除45分後まで15分間隔で血糖値および血清インスリン値を測定した。 研究結果:ラット,ヒトともに糖負荷後の血糖曲線において『無臭』条件下に比較して『桂花匂い』条件下では,有意に早い時点(無臭:30-45min,桂花匂い:15-30min)で血糖値は最高値を示した。また,両者とも最大血糖値は『桂花匂い』条件下で低値を示したが,統計学的に有意差を認めなかった。糖負荷後45分・60分時での血糖値は有意差を認めた。また,ヒトでの糖負荷後の血清インスリン反応曲線は,二条件ともに糖負荷直後から30分以内に第一相の最高値を示し,その後再び分泌は持続的に増加して第二相の最高値を示した。『桂花匂い』条件下では,6名中4名は第一相の最高値までの時間が短縮され,第二相の最高値までの時間も,6名中5名は短縮した。糖負荷を行わずに15分間の桂花匂い刺激を付与した条件下では,匂い刺激解除45分後まで血糖曲線および血清インスリン反応曲線において血糖値,血清インスリン値の明らかな変動は認められなかった。
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