2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791992
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 千穂 Osaka University, 歯学部附属病院, 助教 (20533110)
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Keywords | 片頭痛 / Cortical Spreading Depression / 麻酔薬 / 三叉神経系 |
Research Abstract |
片頭痛は人口の約10%が罹患している疾患であり、発作の際には日常生活の継続が困難なほどの拍動性頭痛が起こり、悪心・嘔吐などを伴う。また発作中には歯痛や顔面痛を伴うことがあるため、患者が歯科を受診する場合も多い。本研究の目的は、片頭痛の発生機序に関与しているといわれているCortical Spreading Deprexsion(CSD、大脳皮質内拡延性抑制)ラットモデルを用いて、現在の臨床麻酔領域で使用されている麻酔薬等がCSD発生にどのような影響を及ぼすかについて検討することである。そして、それぞれの薬物が持つ作用機序とCSDの関連を明らかにすることで、片頭痛発症メカニズムの解明、さらには新規の片頭痛予防薬、治療薬の開発につながるものと考えられる。 今年度は、まずCSD測定装置のセットアップを行い、CSDモデルラットを確立した。このモデルの作製方法は、(1)雄ラットをイソフルレン、笑気で麻酔し、気管切開を行う、(2)筋弛緩薬投与後、ベンチレーターに接続し、脳定位固定装置に固定する、(3)ブレグマとラムダの間の右側頭蓋骨に穴を3箇所開け、そのうちの1つは皮質表面を損傷しないように硬膜を剥離し、皮質表面を露出させる、(4)他の2つの穴より電極を皮質内に挿入する、(5)大脳皮質表面に1M KClによる化学刺激を与えてCSDを誘発する、(6)脳波、DC potentialの記録を行い、CSD発生頻度、CSD伝播速度等を測定する。CSDは脳損傷でも誘発されるため、頭蓋骨に穴を開ける際に皮質表面を傷つけないこと、硬膜を剥離する際にも損傷しないことが重要である。また、記録中の動脈血圧、動脈血液ガス分析を適宜行い、循環動態を正常に保つことも安定したCSD測定をする上で大事なことである。現在、これらの手技を確立し、新しいセットアップで安定したCSD測定が可能となり、デクスメデトミジン、プロポフォール等の麻酔薬の投与条件を検討しているところである。
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