2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部癌SEREX抗原の同定と、理想的ながん抗原の選択
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21791997
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
銅前 昇平 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70397892)
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Keywords | CCDC62-2 / CT抗原 / 頭頸部癌 |
Research Abstract |
CCDC62-2はCT抗原性を有し、また各種がん患者での液性免疫応答が認められている(Domae et al.,Int J.Cancer,2009).特に頭頸部癌において、免疫組織化学染色を行ないタンパクレベルでの発現を確認したことを昨年度より報告してきた。さらに今回頭頸部癌患者での液性免疫応答が確認されたことで、頭頸部癌に対する抗体検出型腫瘍マーカーとなりうる可能性も示唆された。同様にSEREX同定抗原、GKAP1も頭頸部癌を含む各種癌患者で抗体陽性の結果を得ており、腫瘍マーカー候補である。詳細な結果は以下に示す。 CCDC62-2特異的モノクローナル抗体(C6212)を作製し、CCDC62-2タンパクおよび代表的なCT抗原タンパク発現を免疫組織化学的に解析した。CCDC62-2が24/40例(60%)、MAGE-A(6C1)が12/40例(30%)、XAGE-1b(US09-13)が6/40例(15%)、NY-ESO-1(E978)が1/40例(2%)の頭頸部癌組織で発現が認められた。CCDC62-2のタンパク発現と臨床病理学的因子との相関は認められなかった。CCDC62-2組換えタンパクを用いたELISA法により頭頸部癌患者の液性免疫応答を解析した結果、3/18例(17%)が抗体陽性であった。ウェスタンブロット法にて、ELISA陽性患者血清中の抗体はCCDC62-2タンパクに特異的であることを確認した。またわれわれはCCDC62-2と同じ胃癌のSEREXスクリーニングでG kinase anchoring protein 1 (GKAP1)を同定している。遺伝子レベルでの発現解析を行ったところ、CT抗原性を有しており頭頸部癌では5/28例(18%)に発現していた。さらにGKAP1組換えタンパクを用いたELISA法により頭頸部癌患者の液性免疫応答を解析したところ、2/15例(13%)が抗体陽性であった。その他の癌種では肝細胞癌で7/60例(12%)、膀胱癌で5/39例(13&)、悪性黒色腫で3/20例(15%)でGKAP1に対する抗体産生が認められた。 また頭頸部癌由来の新規がん抗原の同定を目的に、複数のCT抗原遺伝子発現陽性であった頭頸部癌患者血清を用いてSEREXスクリーニングを行なっているが、現在までのところ腸性クローンの単離には至っていない。今後、CCDC62-2、GKAP1抗体陽性の頭頸部癌患者血清を用いたSEREXスクリーニングなどで新規がん抗原を検索する。
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