2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮・間葉移行を介した扁平上皮癌の高度浸潤能獲得におけるマイクロRNAの関与
Project/Area Number |
21791999
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小野 重弘 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70379882)
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Keywords | 扁平上皮癌 / 浸潤・転移 / 上皮・間葉移行 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌の浸潤と転移は,患者の予後を左右する重要な因子である.特に,予後が最も悪い高度浸潤型の口腔扁平上皮癌においては,細胞間接着が消失し,個々の癌細胞が散在性に浸潤する像を呈する.これまで口腔扁平上皮癌における上皮・間葉移行(EMT)を介した接着因子E-cadherinの発現消失が高度浸潤能獲得に強い相関を示すことを報告し,EMT関連遺伝子を同定するために分子,細胞レベルで比較検討を重ねてきた. 一方で癌の発生にタンパク質にコードされない,いわゆるnon-coding RNAが関与していることが近年多数報告されている.その中でもmicroRNAは,細胞の増殖,分化,アボトーシスに重要な役割を果たしていると考えられている.また,癌において発現異常のみられるmicroRNAおよびターゲット遺伝子はまだ一部しか同定されていない. これまで,microRNAと口腔扁平上皮癌のEMTを介した浸潤・転移との関連についての論文はほとんどない.そこで,その関連を証明するため,以下の実験を行った. 1. 樹立した細胞株とEMTを獲得した高度浸潤型細胞株におけるmicroRNAの発現を網羅的に解析するため,microRNAマイクロアレイ法(Affymetrix)により遺伝子発現解析を行った.その結果,6個のmicroRNAを同定した. 2. TargetScanにより,それぞれのターゲット遺伝子を検索した.いくつかの興味深い遺伝子との関連を認めたが,現在確認中である. 今後は,今回のマイクロアレイの結果と,事前に行っているmRNAの発現に対するマイクロアレイの結果と照合し,ターゲット遺伝子を同定し,高度浸潤能獲得におけるmicroRNAの役割を明らかにする予定である.
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