2009 Fiscal Year Annual Research Report
薬物徐放制御能を有する高機能性骨置換型アパタイトセメントの開発
Project/Area Number |
21792000
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武知 正晃 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00304535)
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Keywords | アパタイト / 抗菌薬 / 骨芽細胞 / 細菌 / セメント / 破骨細胞 / リモデリング |
Research Abstract |
本研究では、骨伝導性が向上し、さらに比較的早期にセメントが吸収し骨置換され、それと同時に抗菌薬が持続的に徐放するようなアパタイトセメントを調整・設計し、より高機能性の非崩壊型アパタイトセメントを開発することを目的とする。抗菌薬含有アパタイトセメントの作製・基本物性および細胞を用いたin vitro評価を行った。 まず各種抗菌薬の添加がアパタイトセメントの硬化特性などに及ぼす影響を検討した。その結果、抗菌薬の添加量が多くなるにつれて硬化時間はやや延長し、機械的強さも軽度低下したが、硬化体のアパタイトへの変換に影響なかった。次に抗菌薬含有アパタイトセメントからの抗菌薬の徐放特性の検討を寒天平板調整法(Agar Well法)で行った。その結果、抗菌薬含有量が多くなるほど細菌に対する阻止円も大きくなった。また別の方法として、37℃の蒸留水を環流させた2重底ビカー内に一定量の生理食塩水を入れ、その中に抗菌薬含有アパタイトセメントを浸漬させた後、生理食塩水中に放出された抗菌薬の濃度を経時的に分光光度計で測定した場合においても良好な徐放効果が認められた。次に試作した各種抗菌薬含有アパタイトセメント硬化体のディスク上に破骨細胞を播種し、一定期間培養し、破骨細胞の吸収活性をセメント表面の吸収窩数および吸収窩面積より定量化した。さらに骨芽細胞を用いた試作抗菌薬含有アパタイトセメントのin vitro評価も検討した。その結果、抗菌薬の添加による破骨細胞の吸収活性の抑制はほとんどみられず、抗菌薬含有アパタイトセメントにおける分化能および石灰化能が確認され優れた骨形成誘導能が認められた。 以上の結果より、抗菌薬含有アパタイトセメントはより高機能で有用なDDS担体と成りうることが示唆された。
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