2009 Fiscal Year Annual Research Report
CXC型ケモカインSDF-1を標的とした口腔癌に対する増殖転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
21792003
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内田 大亮 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
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Keywords | SDF-1 / CXCR4 / CXCR7 |
Research Abstract |
われわれは、口腔扁平上皮癌のリンパ節転移過程において、ケモカインレセプターCXCR4を発現している癌細胞がリンパ節間質の産生するリガンドstromal cell-derived factor(SDF)-1に引き寄せられながら転移していることを見いだしてきた。SDF-1は長年CXCR4に対する唯一のリガンドとして考えられてきたが、近年新規ケモカインレセプターであるCXCR7がSDF-1と結合することが明らかにされた。SDF-1/CXCR7システムは、SDF-1/CXCR4システムとは異なり細胞増殖や細胞接着に関与すると考えられており、SDF-1を阻害することで口腔扁平上皮癌の増殖と転移を集学的に阻害できる可能性が示唆される。 そこで、本年度はCXCR4とCXCR7を共発現している口腔扁平上皮癌細胞株B88を用いて、リガンドSDF-1の細胞増殖に与える影響を検討した。まず、種々の濃度(1, 10, 100ng/ml)のSDF-1が足場依存性増殖に与える影響をMTT assayを用いて検討したが、いずれの濃度においても細胞増殖促進効果は認められなかった。しかしながら、soft agar assayにより足場非依存性増殖能に関して検討したところ、100ng/mlのSDF-1によりコロニー形成能の促進が認められた。そこで、B88細胞をヌードマウス咬筋内に同所性移植し、SDF-1抗体による実験的治療を行った。しかしながら、10μg/body/dayのSDF-1抗体はB88細胞の増殖・転移いずれに対しても有意な抑制効果は認めなかった。本研究結果はSDF-1抗体の濃度が1点のみであったこと、投与経路が腹腔内であり腫瘍内濃度が上昇しなかった可能性があること、などの問題点がある。次年度は、SDF-1抗体の投与量を再考し、投与経路に関しても腹腔内と静脈内投与を比較することで、上述の仮説が可能か否か検証する予定としている。
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Research Products
(2 results)