2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲンレセプターを標的とした唾液腺癌の新規治療戦略
Project/Area Number |
21792008
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
吉村 友秀 Kochi University, 教育研究部・医療学系, 助教 (80452697)
|
Keywords | 唾液腺癌 / ホルモン療法 / アンドロゲンレセプター / アンドロゲン / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
ステロイドホルモンの一つであるアンドロゲンレセプター(AR)は前立腺癌において発現されており、アンドロゲンにより腫瘍の増殖が亢進する一方で、抗アンドロゲンの投与により腫瘍増殖が抑制されることが知られている。唾液腺癌においてもARが発現されているとの報告がなされており、特に唾液腺導管癌においてはARが発現され、ホルモン療法の有用性が示唆されている。しかしながら、腺様嚢胞癌、粘表皮癌といった比較的頻度の高い唾液腺癌におけるARの役割についてはほとんど検討がなされていない。そこで、唾液腺癌におけるARの役割について検討をおこなった。まず、腺様嚢胞癌、粘表皮癌および腺房細胞癌の生検組織ならびに摘出材料におけるARの発現を、前立腺癌で実際に使用されているDakoのシステムを用いて免疫組織学的に検討した。これとともに、唾液腺癌由来培養細胞株であるHSGおよびHSY細胞におけるARの発現をWestern blotting法にて検討した。その結果、腺様嚢胞癌、粘表皮癌および腺房細胞癌(計10例)のいずれにおいてもARの発現は認められなかった.さらに、HSGおよびHSY細胞においてもARの発現は認められなかった。以上より、検索した限りでは唾液腺癌においてはARは発現されていないと考えられるが、さらに多くの唾液腺癌および唾液腺癌由来培養細胞株を用いて検討する必要があると思われる。さらに、唾液腺癌由来培養細胞株にARを発現させた細胞株を樹立して種々の検討を加え、唾液腺ならびに唾液腺腫瘍における照の役割について検討を進める予定である。
|