2011 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル上皮腫細胞を用いた浸潤機構の解明-3次元浸潤増殖モデルによる解析-
Project/Area Number |
21792012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中尾 祐 九州大学, 大学病院・顎口腔外科, 助教 (70457430)
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Keywords | エナメル上皮種 / 浸潤機構 / FGF / Shh |
Research Abstract |
エナメル上皮腫細胞の浸潤増殖を引き起こす発育誘導因子を解明し、細胞浸潤発育モデルの確立さらには、浸潤発育抑制について基礎的研究を行うことである。すなわち、歯の発生初期に発現し歯原性上皮の細胞増殖に関与する線維芽細聊増殖因子(FGF)、発芽の形態形成に関与する因子sonic hedgehog (Shh)および細胞周囲の結合織分解に関与する因子マトリックスメタプロテアーゼ(MMP)の発現ついて、当科で収集し得た切除材料(140例)を用い解析を行う。さらに、われわれが樹立した世界で唯一のエナメル上皮腫由来細胞株であるAM-1を用い、それらの因子が腫瘍細胞へ与える影響と因子間で作用する機能について解析を行う。さらにマトリジェル(仮想結合組織)を使用した細胞浸潤発育モデルの確立を行い、エナメル上皮腫細胞浸潤発育機構を解明する。 エナメル上皮腫切除材料とエナメル上皮腫細胞株AM-1において、Shhとその特異的レセプターであるpatchedの発現をRT-PCR法を用い、さらに免疫組織学的手法によりそれらの局在の解析を行ったところ、腫瘍先端部で強く発現を認め、発育浸潤にこれらが関与していることが確認できた。また、AM-1細胞にFGF7およびFGF10を添加したところ、Shh発現が誘導された。さらに、Shh添加によりAM-1細胞の増殖促進を認め、Shhシグナルであるシクロパミン添加によりAM-1細胞の増殖抑制を認め、Shhがエナメル上皮腫の増殖・浸潤に関与している可能性が示唆された。MMPおよびTIMPの発現については現在検索中である。 既にマトリジェルを用いたエナメル上皮腫の2次元浸潤増殖モデルを完成させている。サイトメガロウイルスプロモーターにGreen Fluorescence Protein (GFP)タンパクのcDNAをつないだプラスミドをAM-1に遺伝子導入し、安定して蛍光を発する細胞株については、現在取り組み中である。
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