2009 Fiscal Year Annual Research Report
腺様嚢胞癌におけるADAM17を介した転移機構の解析
Project/Area Number |
21792018
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高宗 康隆 Kumamoto University, 医学部附属病院, 医員 (50467982)
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Keywords | 腺様襄胞癌 / 細胞接着 / プロテアーゼ / 癌の浸潤・転移 |
Research Abstract |
これまでの研究で、培養したヒト口腔扁平上皮癌細胞を炎症性サイトカインであるTNFαで処理した結果、接着分子CD44は小さな断片へと切断され、それはCD44の細胞質内ドメインに対する抗体を使ったWesterll Blotting法によって観察された。TNFαを介したCD44切断の原因となるプロテアーゼを同定するためにTNFα効果によるADAM-17の発現と活性を調べた。結果、TNFαはADAM-17のprofbrmをmature formに変換することでCD44を切断し、口腔扁平上皮癌細胞の浸潤を促進するのではないかと考えられた。 そこで腺様嚢胞癌細胞の細胞株を使った実験の前に、口腔扁平上皮癌細胞株を使った細胞の浸潤能を確認するため、SAS細胞株を使ったインベージョンアッセイを行った。 これまでの研究でTNFαが口腔扁平上皮癌に影響を及ぼし、細胞接着の切断に関与している事を明らかにしてきたわけだが、今回はTNFαが癌細胞の浸潤能に及ぼす影響について検討した。これまでの報告で、CD44切断は細胞の運動能および癌細胞の浸潤能と関連があることが報告されている。それ故にSAS細胞の浸潤能におけるTNFαの効果をインベージョンアッセイにて検討した。タイプIVコラーゲンなど基底膜構成タンパクよりなるMatrigel^<TM>をコートした膜上にSAS細胞を播種し、膜の下室にTNFαを添加するボイデンチャンバー変法にて測定すると、SAS細胞がMatrigel^<TM>内に浸潤し、Matrigel^<TM>膜の下面に移動した。TNFαにはSAS細胞の浸潤(運動)を刺激する効果があるごとが分かった。このSAS細胞による浸潤はADAM-17siRNAやNBDペプチドおよびMMPインヒビターの前処理によって抑制した。これらの結果からSAS細胞の浸潤にADAM-17を介したCD44切断が関与することを示唆した。 次の研究から、口腔癌のなかでも間葉組織の細胞外基質を強く分解しながら、著明な浸潤増殖をしていく腺様嚢胞癌に着目し、現在いくつかの腺様嚢癌細胞株を樹立し、この細胞株に炎症性サイトカインであるTNFαで処理し、ADAM-17の発現とその活性を調べている。
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