2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における腫瘍内微小血管形成に関する転写因子の役割の解明
Project/Area Number |
21792022
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
荻 和弘 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40433114)
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Keywords | 口腔癌 / NF-kappa B / HIF-1 alpha / メチル化阻害薬 |
Research Abstract |
口腔がんの発生・進展にがん微小環境が重要な役割を果たす知見が多く報告されており、がんの発生・進展が多段階的に進んでいることが証明されている。本研究では、低酸素環境下で転写因子であるHIF、NF-kappaBが制御する既知の標的遺伝子の発現変化の検索を行った。これまでわれわれは、低酸素環境下でNF-kappaBがHIF1-alphaを制御する可能性を示してきており、今回低酸素環境下で癌細胞に起こっている遺伝子異常を正常化させ薬剤感受性を高められるか転写因子の役割に着目し、解明した。 1.口腔癌細胞株HSC2, HSC3, HSC, Ca9-22, SASを使い、通常酸素下(21%pO2)および低酸素下で培養した(<1%pO2)。なかでも低酸素下でCDDPの感受性の低下がみられたにはHSC2で、またCDDPに高感受性を示したのはHSC4であった。これらの2株をもちい、HIFとNF-kappaBの関連性を明らかにするため、HIF regulated cDNA Plate ArrayとNF-kappaB regulated cDNA Plate Arrayにて既知遺伝子の発現変化を検索した。 2.HIF1 regulated cDNA Plate Arrayでは、HSC2,HSC4の両株において共通の6つの遺伝子(CA9, HIF1-alpha, HIF-2alpha, IGF-II, NDRG2, PDGF-A)の発現上昇がみられた。 3.NF-kappaBの既知の標的遺伝子のうち低酸素下で1.5倍以上の発現亢進が見られたのは、免疫制御に関するサトカイン(IL-2, IL-4, IL-6)や、ストレスにより誘導される誘導型一酸化窒素合成酵素(NOS2)であった。 4.低酸素環境下で遺伝子発現にエピジェネティクな異常の関与があるかを証明するために、メチル化阻害剤(5-aza dC)の投与を行った。メチル化を解除することで、HSC4では多数の遺伝子発現回復を認めた。低酸素環境は、エピジェネティクな異常が治療効果に影響を与えている可能性が推測された。
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Research Products
(2 results)