2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792023
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
笹平 智則 Nara Medical University, 奈良県立医科大学医学部, 助教 (90405374)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / リンパ管新生 / リンパ節転移 / MIA / 血管新生 / 予後 |
Research Abstract |
申請者らは、新規リンパ管新生・リンパ節転移促進因子としてMIAを同定し、口腔扁平上皮癌においては核内HMGB1-NFkB p65転写因子複合体がMIAのプロモーター領域に結合することでVEGF-C/Dを介したリンパ管新生・リンパ節転移を促進し、その際にMAPK p38のリン酸化ならびにERK1/2の脱リン酸化が誘導されることを明らかにしている。今年度、あらたに101症例の口腔扁平上皮癌材料を用いて検討したところ、MIAはリンパ管新生、VEGF-C/Dの発現、リンパ節転移のみならず血管新生、VEGFの発現および局所進展にも密接に関与するととが明らかとなった。ざらに腫瘍内のMIA濃度が高く、かつリンパ管新生ないし血管新生が亢進している群ではそれ以外の群と比較して、有意に予後不良であった。In vitroにおいて、MIAの発現は低悪性株と比較して高悪性株ほど高く、MIAの遺伝子knock down処理により増殖能、浸潤能および走化能が抑制された。またMIA gene familyであるMIA2、MIA3は悪性黒色腫や肝細胞癌、大腸癌の進展に抑制的に作用することが報告されているが、口腔扁平上皮癌においては腫瘍促進的に作用する可能性が示唆された。口腔扁平上皮癌ではMIA gene familyが相同的に作用することで腫瘍の進展を促進させることが期待され、特にMIA2、MIA3の役割ならびに細胞内シグチルは依然として不明であるので、本年度以降さらなる検討を進めることで、MIA gene familyをターゲットとした口腔扁平上皮癌の分子標的治療の可能性を追求したいと考えている。
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