2010 Fiscal Year Annual Research Report
吸収性HAp/BMP-2による頭部骨膜上誘導骨の下顎骨離断部への移植実験
Project/Area Number |
21792027
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
日野 純 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (20508709)
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Keywords | 吸収性セラミックス / 生体材料 / 骨膜上骨誘導 / 骨移植 / 移植・再生医療 / 超音波部分溶解析出処理 |
Research Abstract |
これまで傾斜機能を付与した吸収性のハイドロキシアパタイト(HAp)である生体模倣傾斜機能アパタイト(fg-HAp)を用いて実験を行ってきたが、将来的により早期に臨床応用できると考えられる、既存の市販されている合成HApに吸収性を付与してより優れた材料へと加工するという方向性にも着目して今年度は研究を行った。 市販HApをfg-HApの作製過程を参考にして処理を行った。まずHAp細粒を硝酸水溶液中で完全溶解し、その中にHApブロックを含浸してエッチングおよび超音波処理を行って部分溶解を施した。その中へアンモニア水を滴下して熟成し、表面に針状微細結晶を析出させ、洗浄・乾燥後に完成とした。3×3×3mmに加工したブロックに骨芽細胞増殖因子であるrhBMP-2(5μg)を複合化したものをWistar系ラット(雄性、4週齢)の頭部骨膜上へ埋入し、硬組織誘導能とHApの吸収性について組織学的な評価と骨膜の観察を行い、処理を施さないHApでの同様の実験と比較した。 超音波部分溶解および析出処理を施したHAp群では4週後に中心部のほぼ全ての気孔内で骨形成を認めたのに対し、処理を施さないHAp群では、硬組織形成を認めない気孔を多数認めた。8週後には処理を施したHAp群では辺縁部に梁状の骨形成を認めたが、処理を施さないHAp群では気孔内のみに骨形成を認めた。 これらの結果からHApに超音波での部分溶解および析出処理を施すと、骨膜上への埋入においてBMP-2添加により優れた骨誘導特性を示すことが、処理を施さなかったものと比較して確認されたが、前年度に行ったfg-HApでの同様の実験と比較すると骨形成量は少なく、HAp吸収量も微量であり、骨膜上への埋入においてはさらなる処理方法の改良が必要と思われた。またこの研究においても新生骨と頭頂骨との骨架橋を認めなかったため、骨膜上で作られた新生骨は容易に剥離・摘出でき、骨移植へ用いることができると考えられる。
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