2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792028
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00424169)
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Keywords | 口腔癌 / 癌幹細胞 / CD44 / 細胞表面抗原 |
Research Abstract |
癌幹細胞は腫瘍実質・間質細胞・炎症細胞・血管内皮細胞・線維芽細胞などさまざまな細胞集団から構成されている癌組織のなかで、組織幹細胞様の動態、つまりG_0/G_1期の静止状態で存在していることが予想され、既存の抗癌剤でたとえ病巣が縮小しても癌幹細胞が選択的に生き残る確率は高く、条件さえ整えば再発してくることは想像に難しくない。このことから口腔扁平上皮癌での癌幹細胞をこれまで組織幹細胞分離法によって培われてきた技術を応用し、非常に純度の高い状態で口腔扁平上皮癌組織から直接分離することができるようになれば、これまで見過ごされてきたかもしれない非常にdormantかつrareな癌幹細胞を標的とした新たな化学療法の開発につながると考えた。 そこで本年度の研究では、これまで頭頸部癌の癌幹細胞マーカーの一つとして報告されてきているCD44について口腔扁平上皮癌細胞を用いて解析をより詳細に進めた。どの細胞株においてもCD44は高発現しており、CD44のhigh/lowで分離することはできなかった。そこで、CD44発現抑制株を作成したところ、Colony forming cell assayにおいて有意にColony forming能力がCD44高発現に比べてすくなかったことから、CD44高発現細胞の幹細胞としての性質が示唆された。また、口腔扁平上皮癌の細胞株OSC-19を免疫不全マウスの舌に同所移植を行い、頸部リンパ節転移モデルを確立した。舌原発巣とリンパ節転移巣において、免疫染色を行った結果、リンパ節転移巣においては原発巣とは異なり、CD44陽性集団に加え、CD44陰性の細胞が出現することが認められた。周囲の環境に由来する分化刺激に対し抵抗性を持ち、静止期に留まり維持されるCD44陽性の癌細胞が存在することが、再発や治療抵抗性にも関与していることが示唆された。
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