2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌におけるNa+-K+ ATPaseの機能解析
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21792029
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡辺 仁資 Showa University, 歯学部, 助教 (90384304)
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Keywords | Na+-K+ATPase / 口腔扁平上皮癌 |
Research Abstract |
[要旨] 分子標的治療薬は癌細胞に特異的に作用するため、従来の化学療法に比べ、効果的で副作用の少ない治療と言える。そのため、新たな化学療法薬として近年注目されており、いくつかの分子標的阻害剤が臨床応用で一定の効果を上げている。われわれは、190種類の分子標的阻害剤を網羅的に解析できる分子標的阻害剤キットを用い口腔扁上皮癌細胞に対するスクリーニングテストを行ったところ、ATP合成酵素であるNa+-K+ATPaseで多くの癌細胞に対して特異的な抗腫瘍効果を認めた。そこで、本研究において口腔癌組織または細胞のNa+-K+ATPaseの発現と機能を解析するとともに、抗腫瘍効果におけるNa+-K+ATPaseの役割を評価し、これを標的とした新たな口腔癌の治療や予後因子として貢献できるかどうか検討する [研究の目的] 口腔癌の治療は、症例に応じ様々な方法で用いられており、大部分では手術療法が中心に行われている。しかし、口腔癌の治療は根治だけでなく形態的・機能的な温存もまた重要である。口腔癌は病変への直視、直達が行い得ることから、分子標的治療の適応になると考えられる。その分子標的治療薬は、癌細胞に対し特異的に作用し副作用も少ないことから、新たな化学療法薬として注目されている。分子標的治療薬は数多く存在し、様々な癌に対して特異的な効果を示しているが、口腔癌に対して特異的な分子標的治療薬の報告は少ない。我々は分子標的治療阻害剤キットを用い、9種類の口腔扁平上皮癌細胞株に対して190個の阻害剤の抗腫瘍効果についてスクリーニングテストを行ったところ、Na+-K+ATPaseの阻害剤において9種類全ての口腔扁平上皮癌細胞株で顕著な効果を認めた。すなわち、口腔癌の分子標的治療薬としてNa+-K+ATPaseの阻害剤が有効である可能性が示唆された。
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