2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌におけるNa+-K+ ATPaseの機能解析
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21792029
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡辺 仁資 昭和大学, 歯学部, 助教 (90384304)
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Keywords | Na+-K+ATPase |
Research Abstract |
口腔癌治療は、外科療法・放射線療法・化学療法の集学的治療が標準治療であるが、審美性や機能性の温存という見地から外科療法による十分な切除範囲を設定することが困難な場合も多い。そのため化学療法の重要性は高く、新薬の開発が期待されている。現在、その開発は癌細胞の生物学的特性に基づいた分子標的薬が主流となっている。現在までに様々な癌に対して数多く開発され、ある種の癌腫に特異的、顕著な効果を示すものが確認されたがも、口腔扁平上皮癌に対して効果を示す特異的な分子標的治療薬の報告は少ない。われわれは分子標的治療阻害剤キットを使用し、分子標的治療剤の効果を網羅的に解析したところ、9種類の口腔扁平上皮癌細胞株に対してNa+-K+ATPase阻害剤が全ての口腔扁平上皮癌細胞株で顕著な効果を認めた。すなわち、口腔癌の分子標的治療薬としてNa+-K+ATPaseの阻害剤が有効である可能性が示唆された。 さらにわれわれは口腔扁平上皮癌由来細胞株であるSAS細胞においてNa+-K+ATPaseの阻害剤の一つであるSanguinarineの抗腫瘍効果を確認したところ、濃度依存的に増殖・浸潤抑制効果を認めた。しかし細胞外基質における接着性においては著明な抑制効果を示さなかった。またCaspase3/7の活性化、PARPの断片化、および核DNAの断片化を惹起し、Apoptosis関連タンパクであるBc1-2の減少、Baxの増加を認め、著明なApoptosis誘導効果を示した。 この結果より、Sanguinarine Na+-K+ATPaseの阻害剤が口腔扁平上皮癌に対する新たな治療薬になりうることが示唆された。
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