2010 Fiscal Year Annual Research Report
Nasal-CPAPによる気道管理の歯科診療時静脈内鎮静法への臨床応用について
Project/Area Number |
21792035
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
篠原 健一郎 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20350142)
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Keywords | 歯学 / 全身管理 / 静脈内鎮静法 / Nasal-CPAP |
Research Abstract |
わが国においては高血圧症や虚血性心疾患など、全身疾患を有する患者が歯科治療を受ける機会が過去と比較して近年飛躍的に増加しており、これら患者層における安全性向上を目的とした静脈内鎮静法は正によい適応であるが、その反面、静脈内鎮静法は使用薬剤によるside effectとして舌根沈下等により呼吸抑制を生ずることが最大の欠点であり、特に歯科臨床においては口腔内の水分を誤嚥することによる咳やむせ返りなどは治療の大きな妨げとなっている。 そこで、過去に我々は、歯科治療時と同様に開口させた状態でNasal-CPAPにより気道に常に陽圧をかけておく事で静脈内鎮静法実施時の舌根の沈下を防ぎ呼吸抑制を回避することで、より安全な静脈内鎮静法の確立すべく、平成18~20年度の3ヵ年に渡り日本学術振興会科学研究費補助金の援助を受けて以下の研究を研究ボランティアを対象として実験的静脈内鎮静法を設定し実施してきた(若手研究(B);課題番号18791526)が、Nasal-CPAP装置の併用は実験的静脈内鎮静法施行下に生じた舌根沈下などによる気道障害の改善が可能であるとの結果が得られたことから、今回は、実際の受診患者を対象としたインプラント手術時における静脈内鎮静法管理時の気道確保の一助としてNasal-CPAPを応用しその臨床的効果を検討することとした。 結果、本研究においてインプラント手術時に実施した静脈内鎮静管理時のNasal-CPAPの併用は、非併用と比較しても鎮静深度は同等なまま術中の患者最低SpO2値は有意に高く術中の最高PtcCO2値は有意に低くなる結果が示されたことから、歯科診療時の静脈内鎮静管理におけるNasal-CPAPの併用はその鎮静効果を阻害することなく、且つ、非侵襲的に術中患者の気道開通性の保持・改善に寄与することが示唆された。
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