2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21792038
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
丹羽 崇 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (60507680)
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Keywords | 再生医療 / 骨髄幹細胞 / 歯周組織 / インプラント |
Research Abstract |
本研究は、GMP基準化で培養した骨髄間葉系幹細胞を歯槽骨再生療法に応用し、骨欠損に対する再生医療の標準システムの確立することを目的としている。平成22年度は、昨年度実施した骨髄液の採取および搬送条件に準拠し、高度顎堤吸収異常の3名の患者より骨髄液の採取し臨床応用を行った。採取施設にて後上腸骨棘部から骨髄液を採取し信州大学医学部附属病院cell processing center (CPC)へ搬送を行った。搬送には専用搬送容器を使用し、20~25℃でCPCへ搬送を行った。CPCでは同日、患者より採取した抹消血より血清を調製し初代培養を開始するとともにPRPの調製を行った。PRPは1600±10rpm、22±2℃室温10分の遠心条件にて分離した。その後、1回の継代と3回の培地交換を行い、培養3週後に細胞を回収した後、採取施設に搬送し患者に対して上顎洞底挙上術,自己培養細胞移植術を施行した。3週間の細胞培養を行いMSCは約1×10^7個に増加した。採取した骨髄液と回収時の骨髄間葉系幹細胞の含有量をフローサイトメトリーで解析を行った。マーカーには骨髄間葉系幹細胞のマーカーであるCD271,CD105,CD44を用いた.その結果、骨髄液中には約0.2%のCD271陽性細胞が存在し,この中でCD105・CD44 double-positive細胞は約2%でした.一方,細胞回収時にはCD271陽性細胞は約4%に増加し,この中でCD105・CD44 double-positive細胞は100%となりました.ヒト骨髄液中には,CD271陽性のMSCが0.2%,CD44/CD105陽性のMSCは約2%存在した。上顎洞底挙上術に自己培養細胞移植術を用いた場合では,MRI IDEALによる水画像評価では、骨形成の促進が観察され,術後にみられる上顎洞底部骨容積の減少率は細胞移植側で低い傾向がみられた。MSCは施設間の搬送により、細胞増殖と細胞形質への影響はみられず、マイコプラズマや細菌汚染は認められなかった。これらの結果は、CPCと細胞採取施設が連携しMSCを用いた骨再生療法を適用し、さらにGMP基準下の骨造成治療の有用性が示唆された。
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