2010 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症などの慢性筋痛に見られる性差にATP受容体は関与するか?
Project/Area Number |
21792041
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Research Institution | Meiji University of Integrative Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 和憲 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 准教授 (90351353)
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Keywords | 慢性痛 / 筋痛 / 性差 / エストロゲン |
Research Abstract |
昨年の研究では、3%カラゲニンや高張食塩水の筋注により、慢性的な筋痛が作成できることが行動学的な研究成果から明らかとなった。そこで、本年は3%カラゲニンを注入することで作成された筋痛に性差が認められるのかを、行動学的・電気生理学的に検討した。 3%カラゲニン注入モデルを用いて、雄と雌による痛覚閾値の変化を行動学的な指標も用いて確認したところ、雌ラットで閾値が低下する傾向にはあるものの両群に差は認められなかった。しかしながら、卵巣摘出後に高濃度のエストロゲンを注入したラットでは、卵巣摘出しただけのラットと比べて閾値の低下が認められた。ただし、閾値低下期間の延長などの変化を認められなかった。 一方、昨年度行った電気生理学的な研究では、健常ラットでは咬筋に3%カラゲニンを注入しておこる筋痛に対して、延髄後角の侵害受容ニューロンから得られた反応性に性差は認められなかった。そこで、本年はエストロゲンの血中濃度が高濃度であるラットを用いて検討を行ったところ、卵巣を摘出したラットに比べて、延髄後角の侵害受容ニューロンの反応性(閾値や受容野)は高まっている傾向にはあったが、両群に有意差は存在しなかった。 以上のことから、エストロゲンの血中濃度の変化がラットの、痛覚閾値の変化(特に筋肉)に関与している可能性は大いにあるが、今回用いたカラゲニンモデルでは行動学的には差が認められるものの、電気生理学的にはその差は明確ではなかった。
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