2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌患者における硼素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床効果に関する研究
Project/Area Number |
21792043
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
木村 吉宏 大阪医科大学, 医学部, 助教 (00351388)
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Keywords | 硼素中性子捕捉療法 / BNCT / 口腔癌 |
Research Abstract |
目的 硼素中性子捕捉療法(BNCT)を口腔外科領域で確立することを目標とし臨床例を重ね、検証検討する必要があると思われる。 患者1:67歳女性、化学療法、放射線化学療法後に再発した軟口蓋扁平上皮癌。BNCT前^<18>F-BPA-PETにて、腫瘍にはBPAの集積を認めた。T/N比は3.9。BPA500mg/kgを照射3時間前より点滴静注しBNCT施行。照射線量は腫瘍のピーク値は40.0Gy-Eq、腫瘍最深部で19Gy-Eq、正常皮膚線量は4.1Gy-Eq。BNCT施行1ヶ月後には腫瘍はCRになった。摂食状態は改善した。副作用は口内炎GradeIIIおよび咽頭浮腫GradeIIIを認めた。 患者2:74歳男性、手術、化学療法、放射線療法後の舌癌再発症例(扁平上皮癌)。BNCT前^<18>F-BPA-PETにて、腫瘍にはBPAの集積を認めた。T/N比は2.8。BPA500mg/kgを照射3時間前より点滴静注しBNCT施行。BNCT終了後よりステロイドの静注開始。照射線量は腫瘍のピーク値は20.2Gy-Eq、腫瘍最深部で14.6Gy-Eq、正常皮膚線量は4.9Gy-Eq。BNCT施行1ヶ月後には腫瘍は視診上CRになった。副作用は口内炎GradeIIIおよび顔面皮膚の発赤Grade Iを認めた。 まとめ、 2例とも硼素化合物は輸液量が2000ml近くなる事あり循環器系への負荷を考慮し、中性子照射3時間前からの静注としたが治療可能な硼素濃度は得られた。骨髄抑制、味覚障害は認めなかった。患者2では下顎骨に骨髄炎を認め、壊死した下顎骨の露出を認めた。難治性であり強度の疼痛を伴った。 BNCT症例全8例(12回照射)において、局所の腫瘍の制御はCR3例、PR4例、PD1例であった。副作用は粘膜炎8例、倦怠感6例、脱毛2例、咽頭浮腫2例、味覚障害1例であった。
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